何気ない記録

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人月計算のビジネスは基本はもうかるんですけどね

ビジネスモデルの違いはエンジニアの価値を毀損しない - プロマネブログ

人月を基準に受注する企業の多くは、個々のエンジニアの生産性を給与に反映する事がなく、自社の利益率として会社が吸収する事が多いという点が問題なのかと。人月商売そのものは会社は儲かるので通常は黒字ですよ。

 

よんだ。

 

勘違いしている人もいるかもしれないけど、人月商売は基本的には赤字になりません。

(もっとも、自社サービスをヒットさせる方がもうかるよ、というような話と比較はしません)

 

赤字になるのは人間商売云々ではなく、商流であったり、参入している事業領域の構造上の問題であったり、あとは営業が昼寝している時間が多かったりするからです。

(例えば、まるなげの2次、3次請けの構造であったりね)

 

最近の相場は知りませんが、以前私が外部に発注していた時の単価ですと、1人月80万~180万です。

 

基本100万~120万が基準なんですが、相手方にも事情があって、独り立ちするにはちょっと厳しいというときは、先方から優秀な人+お手伝いという事で二人で150万とか、160万とかいろいろ提案されます。

 

一見すると割引することにメリットはないようですが、会社としては、これ、割引しても儲かっているんですよ。

 

仮に、新人(仮定の話として入社2年~5年程度)の給与が月収25万円(支給額)で、ボーナスを2回、それぞれ1.5か月分の支給とします。

そうるすと、給与負担は25万×(12か月+1.5か月+1.5か月)なので、年間375万円ほどの給与を支給しています。

(もっとも、新人に25万円って相当高い気もするんですが…平均ということで)

 

一方で、会社は法定福利費等もろもろ負担する必要があります。

 

これはざっくり、1.5倍程度にしておけばこのレンジでれば何とかなるので、そこまで考慮すると、新人1人あたりの年間の人権費は約565万円(562.5万円)となります。

 

さて、半額で仕事に出ている新人くんの月の売上は半額ということなので50万となります。

これで1年間仕事をいただければ、50万円×12か月となるので、600万円の売り上げになります。

 

まぁ、実際には、契約が3ヶ月とか6か月とかで切れることもあるのであれですが、おそらく500万前後は固いかなと思います。

 

そうすると、半額で仕事を受けても50万前後の赤字か、又はとんとんという事になります。

 

一方で、ベテラン社員はというとどうでしょうか。

 

ベテラン社員の定義を、入社から5年目~10年目のエンジニアと仮定します。

このあたりではそこそこ貰えているので、月収40万円、ボーナスは新人同様の年2回、それぞれ1.5か月分とします。

新人くん同様に法定福利費も想定した場合の年間の人件費は40万×(12か月+1.5か月+1.5か月)×1.5倍となりますので、900万円となります。

(最近は受託系企業で月収40万+ボーナスってあるんかな…なさそうだけど)

 

このベテラン君は1人月100万円で仕事にでているので、そうすると、年間1200万円売り上げます。

 

ベテラン君一人で考えれば年間300万の黒字となります。

ただ、2人1組ですので、結局は二人で250万程度の黒字という事になります。

 

中堅のシステム会社で考えると、エンジニアが50人~100人程度の所が結構ありますから、仮に50人を同様の条件で出した場合、250万×25セットで6,250万円の黒字が稼げます。

実際は、ここから管理部門のコスト等が引かれますので、大きな黒字は確保できませんが、まぁ、会社として生かさず殺さずということであればなんとかといったところでしょうか。

 

もっとも、単価100万なんて高いよ、60万だ、とか、80万だ、とかあるかと思います。

 

ただ、その単価で仕事を受けている企業の場合、おそらく、エンジニアの月収がもっと低くなるので、損益分岐点や多少の計算は変わりますが、おそらく、最終的な結果はかわらないものと思われます。

 

例えば、ベテランでも人月60万円で契約する企業の場合、おそらく高くとも月収は25万~35万程度でしょうし、ボーナスも1.0倍ぐらいでしょう。そうすると仮に月収30万で計算したとしても、会社側が負担する人権費は630万円程度ですので、売上が720万、利益が90万となります。

(ただ、これだと会社は赤字ですけどね。そういう事情もあり、小さい企業では厚生年金加入のがれとかやるんですよね)

 

 

人月で商売するときの基本は、いかに利益がでるように契約するかです。

基本どの企業も精鋭というよりも普通に仕事をこなしてもらえる人をほしがります。

一方で、人を出す側の企業は、人材の出入りもあるため、複数人セットで雇ってもらいたいと考えます。

(基本は優秀な人ほど出ていくことになるので…)

 

結局、この複数人で黒字化するような仕組みを人月商売ではベースとしている関係から、個々人へのインセンティブが低下する事になるのです。

 

なので、べつに人月商売が悪しきものであるというのは短絡的な話で、論じるべきは人月商売で黒字を確保する場合に、セット販売を前提としたものはおやめなさない、または、1.5人分はたらいたエンジニアには正当な報酬をお支払なさいという事かと思います。