何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

id:hate_flag氏へのお返事かいた

ブラック企業認定?「すき家」への不買運動の可能性|山崎元のマルチスコープ|ダイヤモンド・オンライン

仮にすき家事業上大きなダメージを与えたとして、結局、日本全体で見ると雇用機会が失われるだけでメリットないと思うけど。より加速度的に外国人労働者活用拡大が進むだけだと思うが。ちゃんと考えているのかい?

 

この記事を読んで、上記の通りコメントしたところ、id:hate_flag氏より、以下のようなコメントをいただいた。

それは「ブラックでも雇用機会があるほうがマシだろ?」という間違った主張。ブラック企業はまともに給料を払っている遵法精神のある正しい企業から客を奪い潰す社会悪なので滅ぶべき

 

まず、id:hate_flag氏の私に対する指摘はちょっと短絡的すぎるので、おそらく誤解・誤認していると思われます。

というか、記事を全文読んでの指摘なのかな?とも感じてしまいます。

 

まず、私は不買運動そのものをするなという事は言っていません。

ただ、効果が自分たちの期待するものであるかちゃんと考えた方がいいという指摘をしています。

 

その理由は、記事中にもあり、例えば、この問題を議論する時に、だいたいの場合「ゼンショーホールディングス」という企業を対象に議論が展開されます。

 

確かに、親会社であり、管理責任を伴う、というか、実質的に直接運営しているわけですから、指摘そのものは正しいでしょう。

 

ただ、記事中にもあるように例えば、ゼンショーホールディグスというのは多くの飲食企業からなる事業会社です。

記事では例として「なか卯」に対しての不買運動を行ってはどうだろうかと提案していると同時に、「なか卯」自体がブラック企業であるのか確認も必要であると指摘しています。

 

こういった行動をとる場合には、消費者も労働者も冷静になる必要があります。

 

たとえ、ブラック企業の運営母体あいてだからといって、関連企業であるというだけで、全従業員全員路頭に迷ってしまえというのは全く正当性はありません。

 

仮に、「なか卯」自体もブラック企業であったとしても、それは、「なか卯」という企業としてまずはどう対応するかという事が論じられるべきで、それを飛ばして、いきなり十把一絡げに全グループ・従業員・その家族は滅びてしまえ、その過程においては多少の無実の被害者はかまわんよ、というのは暴論です。

 

そもそもの話で、企業と戦う場合、よく企業対消費者の構図をとりがちですが、企業が消費者と正面から戦う事は非常に少ないです。

同様のケースで、企業と労働者という構図でもはっきり言って労働者がかなり不利(裁判まで持ち込み最高裁まで争うなら別ですが、体力的にも不利なのは否めません)です。

 

ネットや周囲、メディアはおもしろおかしく挑発しますが、当事者はここは冷静に考え対応すべきです。

 

戦うべき時には戦うべきですが、戦うなら上手に戦うべきであると私は思います。

 

ブラック企業をどうやって根絶するかという問題は、実際のところ非常に根深く、単純に「すき家」を駆逐するだけでは改善しません。

 

そもそも、飲食事業の多くは、かなりブラックな状態が横行しています。田舎に至っては、飲食以外でも最低賃金違反や労働環境が劣悪な所等、正直惨憺たる状況です。

 

なぜそれが改善されないのかというのは明白で、消費者は安い者を追い求める。企業は消費者の求める者を提供する為に、何かを犠牲にしてそのサービスを準備する。

この構図の中で、ババを引かされているのが労働者なのです。

(もっとも、消費者も利益の為にババを引かされるケースが多いですが…)

 

なぜこの構図が成立するかというのは非常に単純で、法律がそれを許しているからです。

 

というよりも、法律としてはある程度規制をしていても、摘発であったり訴訟に持ち込めていない限りはあかるみにでないわけで、すき家であっても、裁判で労働者有利な判決を勝ち取った事例はあっても、それを他の労働者が同様の恩恵を受けている訳では有りません。

結局は個別の事案として対応しているのが実情です。

 

はっきり言って、この手の類いで、不買運動を行ってもおそらく結果は出ません。

 

理由は前述した通り、消費者はデフレの問題を知っても、自分がそれを解消する歯車になる事を自ら進んで行わないのと同様に、自分が何かしてもというきもちであったり、また誰かの為によりも自分の生活を第一に考えますから、結局は中途半端な、むしろほぼ影響を及ぼさない程度のインパクトの結果しか生み出せないのです。

 

もっと直接的に、且つ、合法的に追い込むべきなのです。

 

ではどうすべきか。

 

私は一番いいのは、今働いている労働者の多くが集団訴訟を起こす事が一番近道だと思います。

 

当然、全てのブラック企業相手に通じる訳で張りませんが、だいたいの場合、ブラック企業といわれるケースでは、ちゃんと周りが助言し、どのような証拠を集め、どう戦う事で勝てるのか。この点をちゃんと助言し、助けていけば、大抵の場合は勝てます。

 

日本では集団訴訟という話題は少なく、おそらくそういった行動を継続的に起こせば、かなりのダメージを与えられるでしょう。

 

基本的に、企業対個人という構図は圧倒的に個人が不利ですから、むやみに推奨はしません。

当然、すべき時はすべきですが、こういう社会的問題であれば集団訴訟という形に持ち込んだ方が影響力も戦い方も広がり、少なくともメディアへの露出もかわってきます。

 

また、弁護士も、中途半端な個人案件よりも、集団訴訟案件の方が群がってきます。

 

いかんせん、個人が起こす場合の労働紛争は、基本儲かりません。

なので、ボランティアに近い形の弁護士であったり、あとは、個人の人が頑張って訴訟を戦い抜くかのいずれかになってしまいます。

 

そういった部分を補うのにも非常に有効です。

 

で、企業が労働者や消費者に不正を働いた場合、ちゃんと訴訟による法的な手続きで状況を回復できるという事を一つのケースとして定着させる事ができれば、おそらく安易なブラック企業の増加は招かないでしょうし、政治家はその点に目をつけ、点数稼ぎの為に、おそらくそういった点に着手もするでしょう。

 

一方で、集団訴訟なんか無理でしょ、という意見あるでしょう。

ただ、その場合ですが、集団訴訟を働いている人が自ら起こさないというのはどういう状況でしょうか。仕事を失う事ができないであったり、そういった行動を起こせないという性格であったり、おそらく様々でしょう。

ただ、そういった方がいたとして、周囲の人間が不買運動を外部から仕掛けます、で、その人は本当に救われるのでしょうか?

おそらく、この手の経営者は売り上げが減れば、シフトの調整を行います、じっと今も耐えている労働者は、仮にそういう結果に対して、自分に不利な調整が行われてもおそらく何も言えないでしょう。そうなると、不買運動の結果追い込まれるのは、声をあげられない労働者にはならないでしょうか?

 

ただ、だからといって不買運動をすべきでないと言っている訳では有りません。

前述したように、やるなら効果的で、且つ恒久的な効果が期待できる方法を選べぶべきで有ると言っているに過ぎません。

 

集団訴訟が現実的に無理なら不買運動でもよいでしょう。

ただ、集団訴訟と同様に不買運動であっても結局はどうやって成功させるかという事をちゃんと考えないと、ただのネットの戯言で終ってしまいます。

 

結局、まずは冷静にどうする事が解決に繋がるのか、ブームではなく、結果を生み出す為のアクションはどういう事であるか、そこをちゃんと一人一人考えてほしいという点です。

 

アクションを起こせば絶対に結果がでるというのは妄言です。

結果を出すには、ちゃんと考えて、どのような選択肢の中から、どのタイミングで、どの行動を起こすかをしっかりと考える。

そこまで考えて行動しても、確実に成功するわけではありませんが、むやみやたらに行動をとるよりも余程現実的で、結果も見えてきます。

 

私がよく感じるのは、日本人は戦う為の準備を基本的に怠っていると感じる点です。

 

戦いは始めるだけでは勝てません。

 

自分たちが起こすのは勝つ事を前提とした戦いであれば、もっと冷静に、もっと具体的な考えをまとめ、そして迅速に行動すべきです。

 

雇用があるからマシだなんていう考えは相当思考が停止しているし、それと同じぐらい、短絡的に不買運動をすべきだというのも思考が停止しています。

 

選択肢がどれだけ有って、その中の何が一番有効で、どの順番で何を誰がどうするべきか、それも考えぬまま、ただ闇雲に周りに流されて行動しても「結局ネットのお祭り騒ぎなんてこんなものよね」というレッテルを張られるだけです。

 

それがあのコメントの真意であって、それ以上でもそれ以下でもありません。