読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

関係者の証言だけで内規処分を正当化する事は比較的難しい

 

◆ 三浦九段の不正疑惑(将棋): Open ブログ

中身の是非はわからないんだけど、ただ、裁判で、それも民事で関係者の証言のみで処分を下したというのは実際には不可能ですよ。それを認めると法人や団体側が圧倒的に有利(関係者を動員できる)でのそれでは不十分

2016/10/14 09:58

 

よんだ。

 

不正の考察についてはわからないです。

私も将棋は好きですが、例えば特定の対戦相手やトーナメントでは強いという人はいらっしゃるので、現時点ではわからないし、好きだからこそ不用意には発言しないというスタンスです。

もっとも、私以外が推察されるのは好物なので特に気にしませんが。

 

気になったのは、裁判での立証についての一文で、それはありえないかなと。

一応、証言は証拠能力がないわけではありませんが、民事の場合、零百で決着させるのはそれなりの積み上げが必要です。

どちらかというと玉虫色の決着の方が圧倒的に多いのです。

いわゆる裁判所の仲裁による和解というものですね。

 

また、法人や団体が処罰を下す事の合理性は、原則としてその時点で適用する規則がある事と、仮に規則があったとしてもそれが優先される規則の影響を受けない事などが必要になります。

 

不正の定義によるところではありますが、例えば、スマートフォンの見込みを見た、と証言が得られたとして、それが実際に不正に利用されているという具体的な説明(証拠は不要ですが、例えば、日常から仲間にそういった話をしている、であったり、具体的な事実を示唆するような内容)が、多面的に積み上げられる状況でなければ、基本的には「私はそう思いました」というレベルのもので、それを根拠に下せる処分というのは、注意や勧告という類いのものかと思われます。

今回のものは、私が認識する限り、それを逸しているので、もう一歩踏み込んだ一般的な社会人でいえば減給、降格処分とするに十分とするだけの積み上げが必要になります。

 

労働裁判などの場合、これらは例えば勤務実績や営業成績、数期にわたる面談の内容やその後の変化など、多面的に判断することとなります。

それらのそれぞれを証明、補足する意味合いで、同僚や本人の意見も採りますが、基本的には客観的事実を積み上げることが求められます。

 

仮に裁判となった場合、何を争点にするか、という事により戦い方も見えてくる結果もかわるように思えます。

 

棋士側が、不正という報道による名誉が毀損された、という事で訴えればおそらく余程の具体的な事実を出さなければ協会側は負けると思われます。

事実として、名誉毀損は報道などを見る限り成立しており、遺失利益も考えると流石に棋士側敗訴はあり得ないかと思われます。

 

一方で、竜王戦への参加が認められなかった事についての、権利の確認を行う訴訟を起こす場合は、棋士側の勝訴は難しいかも知れません。

この場合、不正の有無だけではなく、そもそも本人が一度は「疑われている状況では・・・」という事で協会側との話し合いにより年内の出場を見合わせる旨打診したという報道があります。

これが事実の場合、そもそもなぜ期限までにその話について履行しなかったのか?という事になります。

履行しないことについて合理的な理由があったとしても、一度合意している(合意が事実であったとして)事を履行しなかったというのは、それなりに不利に働きます。

仮に合理性があった場合は、引き続き不正行為の議論に起因する事が権利剥奪を行使するにたるものであったか、という事になりますが、この場合、将棋云々だけでなく、例えばスポンサーの関係であったり、協会と他棋士との信頼関係が崩れる事によりトーナメントの維持に関わるといった類いの事であっても行使する事は不可能ではない為、泥仕合とはなると思いますが、おそらく棋士側の勝訴は難しいでしょう。

もっとも、泥仕合となると書いたのは、その事を説明する為には、異議を申し立てた棋士やその他の棋士の意見も説明される必要があるので、その裁判に他の棋士が参加したがるのか・・・という難点もありますが、最低限これだけの事になっているので、棋士側も協会もその程度の関係者の協力は得られる前提で考えると、この場合は協会が押し切る事になるかと思います。

 

何れにせよ、関係者の発言というのは、基本的には如何様にもコントロールが可能なものです。

例えば、会社で虐められている社員がいたとして、その社員を処分する為に、一方的に内規を適用し処分した等の行為もありますからね。

そういったこともあり、例えば、関係者が一方的に「彼は疑わしかった」というだけで「これだけ疑わしいなら事実でしょう」という事にはならず、疑わしいと思われた後、協会はどのような対応をしたのか(例えば、防止策や本人への注意等の実施)が確認され、その後の変化も含め本人と協会の関係について整理された後、それでもなお改善や解決にいたらないようなケースでなければ、基本的に団体が重い処分を科すというのは不利な状況であるのは明らかです。

 

どうも報道のみですと、事前の話し合いはあったものの、その時点で既に「不正を行った事による権利の剥奪」といった類いの話であったり、年内の出場停止というレベルの話であったりなので、注意という手順を既に飛ばしている事が協会にとっては不利にはたらくのではないかと思います。

 

まぁ、竜王戦なんだから仕方ないじゃないか、と思われるでしょうが、であっても、法律上権利の行使というのはそれなりの手順を踏まなければならず、それは個人、団体を問わず必要とされることですので、進め方としてちょっと強引だったかなぁ、と思わなくはないですね。

 

何れにせよ関係者の発言だけで、比較的重い処分と名誉を毀損するレベルの発表を行ったというのは悪手だったと思います。

 

個人的には、本人の名誉の為にも、体調不良であったりなんだりで上手く調整すべきであって、本人も一度は年内出場停止に同意したのならばそういった方向でソフトランディングした方がよかったのだろうとは思いますが、もしかすると、周囲の棋士から協会への執拗な働きかけがあり、協会も板挟みになったのかもしれませんね、そう考えると案外協会もちょっとかわいそうだったのかもしれません・・・わかりませんがね。

 

また、非常に悪手であったのは、そもそも竜王戦からは通信機器の持込の禁止が繰り上げて適用されること、さらには、金属探知機の利用などによる徹底した管理の実施を行う旨既に発表がありましたので、仮に疑わしいという状況であっても、竜王戦での不正の実施は不可能であった(というよりも、そもそも協会は不可能な状況を作らなければならない)と推測されます。

この場合、不可能な状況をおしても出場停止にしたという事で、推測による処分では合理的な説明にはならない、つまり、疑わしいだけであれば実現できない事や、例えば退席時に本人同意のものと常に関係者が帯同するなどによる防止も可能ではなかったのか?などありますが、権利自体が剥奪されているので、それでは不適切な処分でそれ以上の罰を与えなければならない、と協会は宣言している事と同意であり、疑わしいという事だけの処分からは逸脱しています。その為、比較的具体的な事実がないと協会としてはその部分の整合性説明しきれず、棋士が課せられた処分が重すぎると言うことで、和解が勧告されるとしても協会側が不利な形になることも予想されます。

 

まぁ、棋士として今後も戦いたいと思うのであれば、そこまでの泥仕合をする意味もないので、恐らくは裁判となれば、名誉毀損については賠償と謝罪、権利の確認については裁判所の仲介による和解(おそらく、痛み分け)で終わるかと思われます。

 

なんだか誰も救われない騒動だったなぁ、と思いますね。