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何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

米大統領戦から見える民主主義の限界

米大統領選も終わり、下馬評を覆し、結果を見ればトランプ氏の圧勝でした。

 

そもそも彼が大統領になる可能性は低くなく、最もその確立を上げてしまったのは、対抗馬がヒラリー氏であったという事でしょう。

 

1夜明けて、全米では反トランプのデモが行われていると言う。

そのこと自体は権利として認められているので私は良いと思うが、中にはいささか民主主義を否定するものであって、その内容は彼らのいう「自由」の侵害ではないのかとすら思う。

 

確かにトランプ氏は過激な発言を繰り返し、おそらく政治的素養もそれ程持たない。

実際のところどの程度実行力が有るのかも未知数で、ある意味、当選してしまったこと自体を彼は多少後悔するのではないかと個人的には感じている程ではないかと思う。

 

だがそういった彼に対してであれば、何を言っても、何をやっても許されるわけではない。

 

そもそも彼が大統領になったのは、ある意味非常に大きな制約の中での結果であり、通常であればそんな事は起きえないほどの逆風の中での勝利であるのは言うまでもない。

 

多くの芸能人は彼に自信の名前や楽曲を使う事を拒否し、ほぼ全ての新聞やテレビなどのメディアは彼と敵対し報道にすら制限を設け、そして世の中では彼の支持者は短絡的(事実差別発言はしていたが、彼を支持する理由は様々であり、ある一つの発言をもって支持者を十把一絡げにするのはまさに差別でしかない)に差別主義者であるというレッテルを貼り、一方的な攻撃対象とする事を正当化され、表向き彼を支持すると発言する事ははばかられるような状況であった。

 

正直、これだけの状況下で大統領選をあれほどの差で勝利できるというのは、まさにアメリカンドリームであり、自由の国であることの象徴であると私は思う。

 

おそらく日本では起きえないし、ヨーロッパでももう少し時間がかかるレベルの事象である事は明らかで、自由の国の人間がその事に目を瞑り、結果を全力で否定し、さらにはそれを攻撃という手段にまでエスカレートさせるような事があれば、まさに民主主義の死であり、アメリカの自由は完全に失われたと言える。

 

得票数の上では云々という意見もあるが、大統領選の制度が今の形になったのはトランプ氏を勝たせる為だけのものではない。

結果がでて、自分達の意に沿わない結果を生んだのは環境や社会に問題があるのだ、などという意見を正当化すれば、テロリストの自己正当化と全くもって同じで有り、それこそ対テロ戦争も敗北したと宣言するようなものだ。

 

私は「一番怖いのは「やってくれた」という感覚を有権者に植え付けてしまうこと」という記事を結果前に投稿している。

 

彼は大統領に就任し、現実と向き合ったとき、確実に一つしかない選択肢を選ぶ事になる。

 

それは、全てを捨てて、一つの結果を得る必要があるという事。

 

メディアや世論では彼の放言一つ一つに意見を述べているが、僕は彼はそれのほとんどについて手を動かす事は直ぐにはないと思う。

 

理由は単純で、彼の一存では何もついてこないからだ。

 

その為、彼が選択する事というのは、自分の意見を同意せざる得ない環境を如何に作るか?という事で、その為にあらゆる課題の中から最もインパクトがあり、最も否定できない問題について一つに注力して解決する事を目指す事になる。

 

今のような対立構造が続くと、最もマイナスを受けるのは反トランプ陣営と言うことになる。なぜなら、彼はその最初の一つの実績を反トランプ陣営の沈静化にする可能性があるからだ。

 

おそらくこの状況で大統領に就任すれば、上下院限らず、彼に単純に賛同する事は難しい。その為、彼に賛同するだけの根拠がなければならないが、その根拠はそもそも両院の信任がなければ進まないという悪魔の証明に近いものであった。

 

しかし、そこに反トランプという行動が出てくることで自体は一変する。

反トランプ行動は、おそらく暴力的なものも含まれるであろうし、差別的なものも含まれるだろう。

そういった行為を適正化するのに対して上下院ともに反対する事はできず、結果的に彼がそれを抑える事ができれば、彼と両院の関係には一つの前例ができる。

当然、反対運動が収まってしまえば、それは彼の実績となる。

 

前例とは恐ろしいもので、最初は小さな合意であっても、段々とその前提を元に大きな合意へと動き始める。

 

結局、今の反トランプ運動というのは、相手方に対して非常に都合のよい切っ掛けを与える事になるだけで、彼ら自身の利益にも理念にも伴わない。

 

結果として彼がどのような大統領となるのかはわからない。

もしかすると彼は害のない在任期間を過ごすかも知れないし、歴史に残る結果を生むかのしれない。

が、それはおそらく彼自身にもわからない事で、まずは蓋が開くのを見守るしかないし、むしろ冷静に対峙する必要がある。

 

仮に彼を追い詰めると言うことであれば、もっと単純な方法がいくらでもある。

 

例えば過去には女性スキャンダルで罷免直前まで追い込まれた大統領(それがヒラリー氏の関係者であることは皮肉なものではあるが)がおり、奇跡的に罷免はものがれたものの、トランプ氏の過去を見る限り、追い込む方法はもっと合理的にいくらでもあるように思える。

(もっとも、その方法が理性的なものであるかどうかについては別な議論だが)

 

何れにせよ。

 

選挙結果を受けてのアメリカを見ることは、どのような書物で読むよりも、民主主義の限界というものを表しているのだと本当に思う。