何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

F1 2019 プレシーズンテスト 1日目 雑感

プレシーズンテスト1日目が終了しました。

 

まず一言で言えば『俺たちのフェラーリが速い』の一言です。

いや、私はフェラーリ派ではないのですが、それを除いても驚嘆する程の早さです。

 

何が凄いかと言えば、一つはタイムを計測した時間は午前であったこと。

さらにタイムを出したタイヤは2番手につけたマクラーレンサインツよりも固いコンパウンドのタイヤであった事。

簡単に説明すれば、まずレーストラックは走行開始時から徐々に路面が改善されて、タイムは走行時間が長くなればなるほど良くなる傾向があります。

これは、一つは路面の埃がレースが開始されることで徐々に無くなり、タイヤ本来の性能を発揮しやすくなる為です。もう一つは路面が綺麗になるにつれて、タイヤのラバーが路面につくことでよりタイヤのグリップ力があがる為です。

当然、途中で雨が降ったり、コースアウトした車の影響で路面が悪化したりといろいろ起きるわけですが、単純に言えば後に計測した方がタイムは良くなるというのが一般的です。

さらに、タイヤは柔らかい方がグリップ力は高く、昨年のタイヤで言えば、レースタイムで1週あたり0.2秒〜0.6秒程度の影響を及ぼします。

この事実を考えると、午前中の段階で、且つ、コンパウンド(C3)であの計測タイムである1分18秒161というタイムは恐ろしいものです。

 

実際には、搭載燃量による差や、本来レース時には規制される重量などの影響もありますから、実はテスト時にはタイムを出すだけならいくらでも方法はあるのですが、フェラーリ程のチームがそういった面倒な事をする意味が無い(というよりも、一般的に上位チームは実際のポテンシャルよりも抑えめの結果を出すのが通例)ので、そういった意味で、アレがあくまでもテスト時のタイムで、普通にアタックしただけで出たタイムであると考えると、本当に今年のフェラーリはどうしてしまったのかと思うほどの早さです。

 

コンパウンドも考慮にいれると実は昨日のベストラップの順位は結構変動します。

今年のタイヤの性能差は現時点でピレリから発表がありませんので、仮にコンパウンド間で0.4秒の差が生まれると仮定します。

そうすると、以下にような結果となります。

順位 ドライバー チーム 固さ 仮想タイム 実測タイム
1 セバスチャン・ベッテル フェラーリ C3
1分18秒161
1分18秒161
2 カルロス・サインツJr. マクラーレン C4
1分18秒958
1分18秒558
3 ロマン・グロージャン ハース C3
1分19秒159
1分19秒159
4 マックス・フェルスタッペン レッドブル C3
1分19秒426
1分19秒426
5 キミ・ライコネン アルファロメオ C3
1分19秒462
1分19秒462
6 バルテリ・ボッタス メルセデス C2
1分19秒727
1分20秒127
7 ルイス・ハミルトン メルセデス C2
1分19秒735
1分20秒135
8 ダニール・クビアト トロロッソ C4
1分19秒864
1分19秒464
9 セルジオ・ペレス レーシング・ポイント C3
1分19秒944
1分19秒944
10 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー C2
1分20秒580
1分20秒980
11 ダニエル・リカルド ルノー C2
1分20秒583
1分20秒983

 C3コンパウンドを±0として、固いコンパウンドは一段階毎に0.4秒のタイムを減算、逆に柔らかいコンパウンドは一段階毎に0.4秒のタイムを加算しています。

赤字はコンパウンドによりタイムが加算されたもの、緑字はコンパウンドによりタイムが減算されたものです。

 

こうやって見るとフェラーリの速さがより際立ちます。

 2位のサインツに対して仮想タイムでは約0.8秒、レッドブルのフェルスタッペンとは約1.2秒、メルセデスのボッタスとは約1.5秒の差をつけています。

 

もっとも、メルセデスは見ている限りロングラン中心でしたので、おそらく燃料搭載量が多く、ベストラップはもっと早いタイムが出せるというのは確実で、レッドブルメルセデスほどではありませんでしたが、後半に出したタイムアタック時は普通にロングランをそのまま行っていましたのでまだまだタイムは伸びそうです。

 

こうやって見ると、2位のサインツマクラーレンから9位のペレス/レーシング・ポイントまでは1秒以内というかなりの接戦ですから、今年は本当にトップ3強と中段のトップ争いのそれぞれが楽しみになりますね。

 

なお、当日気になった点としては、トロロッソとレーシングポイントは少しセッティングを含む調整で手間取っていた感じがしますね。特にレーシング・ポイントは周回数からみても危険な感じがします。

トロロッソレッドブルも途中走行していない時間がそれなりに合ったので、推測ですが、多少のトラブルとは別にエンジンを中心に駆動周りのセッティングについて思案していたのではないかと考えます。

実質、燃料含め完全なレッドブルチューンのリアエンドとして作り替えていますから、昨年トロロッソでの走行実績があったとはいえ、今年はもう一度細かい調整から入る必要がありますからね。

 

ライコネンアルファロメオについては、2度のコースオフと最後のコース上でのストップと合計3回の赤旗または黄旗の原因となるトラブルを出しました。

コースオフについてはおそらく昨年までのフェラーリと今年のアルファロメオの挙動の差を試していたのでは?と感じますので、この2回のコースオフは気にする必要は無さそうです。

一方で、終盤に発生したコース上でのストップについては、情報が見つかっていませんが少し原因が気になります。

フェラーリも含めエンジン周りはそれ程心配すべき事象は無さそうですので、それ以外の部分ではないかと思いますが、毎年ですが序盤のセッティングと開発では不安定さを出すアルファロメオ(旧・ザウバー)ですから、今年はビシッと決めて開幕から中段を牽引してくれればと思います。

 

マクラーレンは・・・謎ですね。

個人的には例年通りと言えばそうなのですが、マクラーレンは柔からめのコンパウンドで比較的タイムを出しに行く傾向にあります。ですので、ある程度良いタイムを出す事は想定していましたが、それにしても良すぎる気がしますね。

仮に、この結果が純粋にマシンの改善の結果であるとすると今年はそれなりの結果を出してきそうです。走行中の映像を見る限り、サインツも乗りやすそうである印象をうけましたし、コーナーリング時の挙動も安定していたように思えます。

ただ、一度赤旗の原因となるメカニカルトラブルが発生していますから、その原因次第ではテスト中に潰せないと昨年のようにエンジン以外の部分でのトラブルが比較的多く発生する事となりそうです。

 

また、ハースも同様ですね。

結果を見ると予想通りではあるのですが、序盤のトラブルはちょっと心配です。

完全にコース上で停止していましたので、終盤に発生したアルファロメオのトラブル含め、万が一エンジンを含む何かリアエンド周りに原因があるようであれば、ハース自身のレースにも影響しますが、フェラーリPU搭載チーム全てに影響がでる可能性もありますから、そういった点で注視が必要に思えます。

 

ルノーは・・・これも謎ですね。

ヒュルケンベルグのタイムは午前中の計測でしたので正直タイムが他のドライバーよりも若干遅いというのは仕方が無いと考えています。その上固めのコンパウンドであり、テスト初日のファーストドライバーとしての走行でしたので、セッティングの確認等もより多くこなす必要があると考えれば、この20秒台のタイムは、おそらく実際には19秒台には確実に入っていたのでは?と考えます。

サインツマクラーレンのアタックの結果を見ても、最高速はそれなりにでていましたから、午後にリカルドが走行したにもかかわらずタイムが上がらなかった理由が少し気になります。

特に印象的だったのは、やはりコーナーでのふらつきでしょうか。

昨年まではコーナーリング性能の高いレッドブルであったので、おそらくその感覚を調整する必要がある、つまりライコネン同様に今年のマシンに自分のドライビングをアジャストする必要があるのですが、ライコネンが徐々にタイムを上げていった事と対象的に、リカルドはタイムの改善も無かっただけでなく、走行も比較的短めで、度々ピットに入っては調整再度タイム計測という流れを繰り返していたように思えます。

実際、ヒュルケンベルグが午前中に65周走ったのに対して、リカルドは44周しか走っていません。この周回数は半日しか走っていないドライバーの中ではもっとも少なく、通常はトラブルが無ければ午後の走行の方がセッティングが決まりやすいので走行距離は伸びる物ですが、明らかに少ない周回です。

映像上で確認できた限りはコーナーリング時に挙動が少し安定しておらず、比較的何度も映像では映し出されていましたが、最後までその状態が改善されていなかったように思えます。

2日目のテスト結果次第では、エンジンよりももしかするとシャーシ側に少し問題を抱えているかもしれません。

もっとも、それを明らかにするのがこのプレシーズンテストですから、まぁ、今の時点ではそれほど気にすることでもないでしょう。

 

最後にメルセデス

わかりませんね・・・、ここは本当に、毎年わかりません。

ただ、ハミルトンについては特にリカルド同様にコーナー時のふらつきが最後まで解消されていなかったように思えます。

昨年のメルセデスは、多少のセッティングミスがあっても数周で調整してくるイメージでしたが、今回は何度もピットに入っては調整していたように思えます。午前のボッタスの方がどちらかというと安定していたように感じるほど、午後のハミルトンは少し安定を欠いているように思えました。

また、印象的だったのは、途中クビアト/トロロッソとのバトルがあったのですが、中々抜けなかったという印象を受けました。

これはクビアトがあっさりと譲らなかったというのもあるのですが、もう一つはコーナーでの安定性を欠いていたので通常であればどこかしらのコーナーで一気に差を詰め、その後あっさり抜いていくという事ができるわけですが、今回はコーナーインでは多少相対速度的にも差を詰めるものの、アウト時にはクビアトの方が挙動が安定している為、抜けないという状態が続きました。

また、ホームストレートでの追い抜きも、昨年までの圧倒的なスピード差がある、という程のものも無かった(まぁ、テスト初日ですから当然ですね)ので、結果として数周の間、クビアトの後ろで走るという事になり、最後はいらついていたのでは?という抜き方になっていましたね。あれは印象的でした。

 

総合的に見ると、ウィリアムズが1日目だけでなく2日目もテストに参加できないという発表があった事を除けば、昨年ほどドラマは起きなかったな、というのが雑感です。

 

ホンダエンジンもなかなか安定している様ですし、速度もそこそこ出ているようです。

ここからどの程度安定性も含めパワーを絞り出せるかという点が序盤のレースの結果に影響するわけですが、是非そこもギリギリの最適解を出して、本番を迎えて欲しいものです。

 

やっぱり本戦も楽しいですが、このプレシーズンテストの楽しさはそれとは異なる次元での楽しさがありますね。