何気ない記録

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派遣契約制度の改善にはメリットとデメリットのメリハリを作るべき

「生涯ハケン」拡大も 働き手は不安の声 派遣法見直し:朝日新聞デジタル

派遣って職種によっては正社員よりも手取りがいいんだよね。結局派遣会社の営業スタイルや派遣契約時の報酬の按分の仕方の問題な気がする。企業からの報酬の25%以上は派遣元は受領してはならないとか法律を作ればいい

 

現状の派遣契約による雇用は、悪しき制度と受け取られがちだが、企業側の雇用意欲をそがないというメリットもある。

状況に応じて人員の調整もしやすく、その為、経験・将来性といったような部分でのハードルも下がる。

 

個人的には、働き方の一つとして派遣契約というものはあった方がいいと考える。

 

ただ、今の派遣契約制度には大きな問題があり、派遣契約者の就業状況が不安定になるのに対して、得られる報酬がそのリスクに見合っていない部分だ。

極論を言えば、安定を求める正社員雇用は安定とのトレードオフで給与水準が派遣契約より低くなっても問題ないと考える。

 

これは正社員の給与を下げるという意味ではなく、すでに派遣先企業から支払われる報酬の合計は一般社員の月収よりも高く、その按分をより派遣社員に多く配分することで、正社員の月収と派遣社員の月収の関係が逆転するという意味

 

ただ、実態は、多くの派遣元企業で派遣先企業からの報酬の半分またはそれ以上を受領し、実際に派遣社員に支払われる賃金の合計は正社員雇用者よりも低くなる実状がある。

 

これではリスクを抱えて企業の雇用の柔軟性に貢献しているメリットがない。

 

コメントにも書いたが、普通に考えて、支払われる賃金の50%をピンハネするのは暴利だ。一度契約が成立すれば基本的には数か月から最大3年程度は報酬の分配が約束されるわけで、一人の営業担当者が数十人の派遣社員の管理と数社の顧客企業の管理を行っているわけであり、それほど暴利を得なくとも十分企業として利益はでる。

 

個人的には、派遣企業が派遣先企業から得る報酬に対して得られる対価に制限をつければ問題は解決すると思う。

 

例えば、25%~35%程度の間で制限をつければいい。

 

このメリットは大きい。

 

まず一つ目に、派遣社員の手取り給与が増える。その為、派遣社員の不安定な経済状態が解消し、就業状況の安定にも貢献する。

(安易に別な派遣先に切り替える等を行わなくてもよくなる)

就業状況が安定することで派遣元企業の営業は新規開拓や少人数での効率的な運用が可能となり、派遣元企業の収益も圧迫しない。

 

二つ目に、派遣社員との報酬按分に制限がつく為、派遣元企業が契約上極端な賃金契約を結ばなくなることが想定さる。その結果、派遣先企業にとっても賃金負担が軽くなり、派遣社員の雇用を現状よりも活用し、企業自体の安定性や柔軟な労働力の確保につながり、さらには、契約期間の短期化等も是正される。

もっとも、仮に派遣元企業がより利益を得るために報酬の引き上げを行ったとしても、派遣社員自身の得る報酬の方が比率として高い為、問題はない。

 

さらに、派遣社員という選択肢にメリット・デメリットが両方備わることにより、派遣社員という選択肢に労働者側としてもメリットがでる。

正社員になれなかったから派遣社員になる、ではなく、安定の正社員か、リスクはあるが平均報酬の高い派遣社員か、というような選択肢になる。

 

派遣社員というスタイルが社会悪のような存在として受け取られなくなれば、派遣社員というスタイルについて雇用年数の制限は不要と考える。

そうなれば、より企業の雇用に柔軟性が生まれ、たとえば、労働者不足の解決の為に海外労働者の受け入れを促進するなどの本末転倒な政策を性急に実現する必要もなくなる。

 

また、派遣社員というスタイルが成立し、時間単位での労働という形は高齢化社会にも対応しやすい。無理にフルタイムで働く必要もなく、発送業務や梱包作業等の単純労働部分のような業務について、高齢者雇用を促進し、無理なく所得を得ることにより、労働人口の増加と社会福祉費用の抑制も行える。

 

結局のところ、現代の制度は何もすべてが悪いものではなく、システムの在り方や運用の仕方に問題があることが多い。

 

少しあり方を変えると非常に有機的に働く可能性が多く、私はそういう部分を少しずつ見直し、現代の社会にマッチした制度に変化させればいいと考えている。

 

当然、前述した形のものであっても万全ではないが、改善は継続するものであって、少しずつよくしていけばよい。

 

労働者が幸せになることも重要だし、当然そのためには源泉たる企業が一定の利益を得なければならない。

 

双方にメリットがある制度に変更し、派遣制度というものを社会的意義の非常に大きなものにしていただければと思う。

 

ちなみに、海外では日本よりも雇用形態が自由(雇用・解雇のルールがはっきりしており、いずれの場合もルールに従えばいつでも可能)であるため、このような対応は不要な国が多い。