何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

軽減税率の対案として給付金制度を推奨するのは現実を理解していない人だけ

 

僕が軽減税率には絶対反対な理由 - それ、僕が図解します。

給付による仕組みは何の解決にもならんよ。貧困層は金銭的支援ではなく環境的支援をやらないと抜け出すなんて事は絶対にできない。お金を給付すれば解決する程度の問題ならとっくに解決しているわけで。

2014/12/05 16:08

 

よんだ。

 

まず、コメントのとおりですが、まず貧困層の支援に給付金制度はほぼ役に立たないことが予想されます。

 

 

もっとも、給付金でなく、配給券のようなものであれば別ですが、後述するように結果的にそれでも効果は本来得るものと比較して小さすぎて意味をなしません。

 

 

確かに、軽減税率の実施に伴う社会的コストはかなり負担も大きいですし、実際問題、結果的には富裕層も減税の恩恵を得る部分もあるでしょう。

 

ただ、まず最初にはっきりしておくべきは、軽減税の実施にかかわらず、貧困層の支援の話と、富裕層への反発心をごちゃまぜにして語ってはいけないという事。

 

そもそも軽減税率の実施は、消費税やそのほかの物価の上昇などを考えた場合の、特定層、現役世代の貧困層もそうですし、年金世代についても同様に負担に耐えられなくなることが予想される層の支援を目的としています。

で、軽減税率の導入というのは、あくまでもそういった層の負担をいかに軽減するのかというのが議論の中心で、おこぼれで結果的に富裕層にも効果が働いたとしてもそのこと自体を理由に反対するのは、単なる富裕層アレルギーでしかないです。

 

そもそも、軽減税率を導入せず、かつ、増税もしないという選択肢を現状具体的に提示できている政党はありません。

可能性について示唆する政党はありますが、現時点で「そうね、この方針と実施計画なら実現できそうだし彼らになら任せる価値があるよね」なんて政党はありません。

 

そのような状況でも少子高齢化は進み、現役世代の減少は加速度的に進行するわけで、その状況で現状を打破するための仕組みは何かしら考えなくてはなりません。

 

確かに、なんで貧困層や一般層の支援を目的とした軽減税率の導入で富裕層にも恩恵があるんだ、といいたいところですが、そんなことを言ったら、圧倒的に情報量、選択肢ともに多い富裕層と我々とではそもそも勝負にならず、どんな方針であっても彼らはうまくそこを利用することを考える(正しくは、考えて助言する仕業の方がいる)わけで、何も実施できなくなります。

 

ここで重要なのは、貧困層の負担をいかに軽減するか。

それも、生活に直結する部分について特に重点的に行うかという点です。

 

給付金制度というのは、一見すると配るだけで負担も少ないだろうし、軽減税率のような複雑さもないじゃないか、と思われるでしょう。

 

実際はそうではありません。

 

対象の絞り込みは基本的には申告データを中心に行いますが、所得が少ない=実社会での貧困層ではないですし、逆に言えば、一定の所得があっても目に見えない支出による貧困層なみであったりそれ以上に苦しい生活環境の人もいます。

 

一番わかりやすいケースは借金をしているケースです。

 

仮に年収が500万あったとして、家族4人で生活しているとすると、貧乏とは言えない生活が送れますね。私の実家はそんなもんでしたし、母も専業主婦でしたから別に苦労したとはそれほど思っていません。

 

ただ、この家族が、何らかの理由で借金をし、月に2万~5万程の返済負担があった場合どうでしょうか。

 

年間での負担は約25万~60万円になり、これは税引き後の所得から支出することになりますから、実質年間に使えるお金が25万~60万円へるわけでかなりの負担です。

 

借金する方が悪いという人もいるでしょうが、実際問題子供を育てるのにはお金がかかるわけで、ある時期、例えば入学、進学、就職のタイミングには結構まとまった額が出ていきます。

 

年収500万であれば生活水準にもよりますが、貯金は多少できると思いますが、子供2人ですと、おそらくそれほどの余裕はないものと思われますので、現実的には貯金からというのは難しい選択肢でしょう。

 

また、子供の為だけにお金はかかるわけではありません、実際私の父もそうでしたが、突然の病により仕事を一定期間離れる必要がある場合や、比較的金額の高い家電製品の故障等も結構な金額がかかります、また、転職や離職をするようなこともあるでしょうから、そういった場合、次の職が見つかるまでの間は無給となりますので、仮に間でアルバイトをしたとしても、その差分は可能な限り生活水準を下げ、それでも補えない部分は借金をするしかないかもしれません。

周囲でおきる冠婚葬祭のようなことも考えなければならず、当然、増税や社会コストの増加の負担分の考慮も必要になります。

 

いずれにせよ、人生の中でお金が必要になるというのは大抵の場合突発的で、この借金をしてしまった場合、それらの負担は目には見えない形になります。

 

これは金融関連の業務にかかわる人(銀行や証券だけでなく、決済インフラでの与信業務であったり、保険であったり、あと保証業務を営む会社であったりに従事する人)であれば常識的な話で、収入=個人・家庭の生活環境を表すものでは決してありません。

 

なので、本当の意味で生活が苦しい人を可能な限り救おうとすると、実はこういったぎりぎりで耐えている人も見つけない限り、こういった人達は、徐々にジリ貧になり、最終的には貧困層となってしまいます。

 

ではこういった人達も給付制度ですくえばいいじゃないか、と、おっしゃられるかもしれませんが、それは無理です。

なぜなら、給付制度の場合、実際の支出等におうじて支援するわけではないので、額面上の話でしかコントロールすることができないからです。

 

いや、現実には給付対象とする年収を一気にあげればいいわけですが、そうなると政府の負担は一気に膨らみます。

 

また、それだけでなく、元記事でも問題とした貧困層以外の人も当然含まれてきますから、これはダメですね。

 

軽減税率というのは、こういった書類上の豊かさではなく、あくまでも現実的に生活を営む上で負担を軽減する事を目的としているものです。

 

仮にそこに富裕層の人間が含まれても正直問題ではありません。

 

考えるべきは、貧困層であったり準貧困層(今なんとか踏みとどまっているが、今後貧困層となる可能性の高い層)をいかに救うかが目的であって、それ以外の事は、あくまでも2番目、3番目の優先度でしかありません。

 

社会というのは非常に大きいもので、かつ、非常に複雑です。

 

1+1=2のようなものであれば単純ですが、社会の場合、この「1」そのものが「(2-2)+1=1」であったり「(10-2)÷8=1」のように、一見するとそうは見えないようなものも、実際には非常に問題や課題を抱えているケースも多く、そういったものを可能な限り漏らさず手当てするにはどうするか?という視点でなければなりません。

 

また、給付金には負の面もあります、仮に10万支給したとして、そのお金はどうやって使われるのでしょうか?

 

もしかすると生活必需品に使うかもしれませんし、もしかすると、ちょっとおいしい外食に使われるかもしれません。

 

軽減税率というものが実施後継続的に負担を軽減する仕組みである一方で、給付金は支給したその瞬間のことでしかありません。

軽減税率を導入した場合の年間コストを毎年支給するとしても、おそらく一括支給で行うと、そのうち一定の割合で生活必需品以外の支出にあてるでしょう。

そう考えると、より生活支援に生かされるようにするためには、分割支給を行う必要があります、そうなると、その管理・委託コストも別途かかることになりますし、おそらく徐々にかかるコストは膨らみ、実際に支給可能となる額も減額せざるをえません。

 

よく給付金の用途は自由で何に使おうが問題はないという人がいます。

ただ、貧困層支援を目的とする場合はそれでは許されません。

目的が貧困層の生活の安定と、貧困層からの脱却を支援することを目的としているからです。

 

その上、その方法では、額面上の豊かさのみで判断されますから、おそらく、準貧困層は救われることなく追い込まれることとなり、結果、貧困層の割合は増加することが想定されます。

 

貧困率の改善は、かならず2つ点について考え実行する必要があります。

 

1つは貧困層の支援・救済。

当然ですが、貧困層の人の生活をどう支えるか、であったり、貧困層からどうするれば抜け出せるのか?という点いついて考え、実行することです。

 

そしてもう一つは貧困層の増加を抑える事。

これは非常に重要です。貧困層の支援には莫大な予算も時間も労力もかかります、なぜなら、それぞれの事情やケースは複雑で、単純な金銭的支援や物的支援だけでは解決できないからです。

個別の家庭訪問であったり、定期的な面談・相談会の実施、仕事の斡旋や住居の支援など非常に多岐にわたる作業が必要です。

そのため、貧困層が1%増加するとその1%を支援するのにかかる負担はそれ以上のものとなり、現場の負担を極端に増やすこととなり、結果、提供されるサービスの低下が懸念され、そのためにより予算を費やすようになります。

 

ですから、貧困層を増加させないことというのは非常に重要で、いかにそういった書類からだけではわからないような層をうまく支援するのか、もっといえば、本人ですら準貧困層であるとはおもっていない、つまり、自分の家庭はまだ大丈夫でなんとかやれる、と信じている人達を、いかに上手に側面から支援し、貧困層にせず生活を安定させるかという事が、貧困層対策では非常に重要なのです。

 

このようなことを考えてみても、給付金制度というのは従来型では、本来もたらすべき効果の半分以下の効果した期待できず、結果は半分どころか、おそらくほとんど解決には至らないような結果となることは想像に容易いです。

 

当然、軽減税率のみが選択肢ではありませんが、その対案としても給付制度を提案するならば、そういった社会の仕組みも十分勘案して、対案となるだけの仕組みとして提案しなければ、コストはかかるが実生活を具体的に支援する案に対する否定する根拠としては弱すぎるかと思います。

 

何かの議論をするときに、「それじゃ富裕層も得するじゃないか!」という事を安易に口にすることは別にかまいませんが、そのことを否定した結果、本来自分が支援したいと思っている層を、あなたのエゴ、つまり富裕層アレルギーで切り捨てようとしていることは理解すべきだと思います。

 

 

水清くして魚棲まず

 

 

富裕層に無駄に恩恵を与える必要はありません。

彼らはほっておいても十分肥えますから。

 

 

ただ、貧困層や準貧困層は手を差し伸べないと決して救う事はできません。

10,000人の貧困層を救うのに1人の富裕層がおまけで得をしてなにが問題ですか?

いいじゃないですか、10,000人の貧困層が救われるなら。

 

 

僕はそう思いますけどね。