何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

実際に影響があったのはバーニー・サンダース氏の早期の支持表明

 

初の女性副大統領へ「私が最後ではない」カマラ・ハリス氏の演説全文<アメリカ大統領選>:東京新聞 TOKYO Web

一応勘違いしている人が結構居そうなので言及すると彼女は厳密には黒人層からの支持は低く、どちらかというと移民層からの支持が強い。そして奇妙な事に女性層の支持もそれほど高くなくヒラリー氏とは対照的ではある

 

結構勘違いしている人が日本には多いが、彼女を目的としてバイデン氏に投票した人も多そうという意見であったり、そもそも彼女が後継者として内定指定しているという意見だが、後者はまだ議論の余地はあるものの、前者は確実に日本人の雰囲気で大統領選を読む悪い癖によるものかと。

 

そもそも彼女はバイデン氏と予備選でも言い争いを繰り広げ、本命であったバイデン氏やサンダース氏以上に注目を集めた事は確かだが、それでも彼女は早々に敗北している。

 

彼女を黒人という単純な見た目での評価で黒人支持が高く、彼女の影響で黒人支持が伸びたと誤解している人がいるが、恐らくそのような事はない。むしろ彼女自身は一部の黒人層から過去の経歴において実質的に黒人を放置したとしてその政治姿勢(自分の実績の為であれば差別も許容する人物との評価)について厳しい意見もある程で、それが原因で予備選も早々に撤退している。

 

元々バイデン氏は黒人層や若者からの支持も幅広く獲得しており、ハリス氏の支持による効果はそれほどない。

一方で、サンダース氏との支持層は明確に分かれており、例えば若者からの支持でいっても、バイデン氏は比較的裕福な家庭の若者からの支持(所謂都市部の富裕層の子供)が強く、一方でサンダース氏は地方や貧困層の若者からの支持が比較的強い。

これは政策方針によるものでもあるが、どちらかというと今回の選挙ではサンダース氏が対トランプ氏という前回のヒラリー・クリントン氏の驚きの敗北という結果を受けて早めに結束しなければその惨劇を繰り返す可能性があると考え、予想よりも早い段階で撤退を決め、バイデン氏に一本化したことが大きい。

 

また、恐らくバイデン氏は元々彼女を副大統領に指名したいとは思っていなかったと思われる。

 

というのも、バイデン氏とハリス氏の政治方針には比較的相違点が多く、単純に同じ民主党という枠で語れるものではない上、前述のとおり、予備選でもバイデン氏にどちらかというと言い掛かりをつけて自分の評価を上げた過去もあり、バイデン陣営であったり、バイデン氏の支持者からの感度はそれほど良いものとは言えない。

その上前述の理由により黒人層にも一部反感を持たれている事から一歩間違うと自滅する可能性すらあるというリスクもあった。その為、本当はもっと違う人選も検討していたものと思われるが、残念ながらBLM運動の激化により選択肢は限りなく狭くなった結果、選択せざるを得ない事となった。

 

元々今回バイデン氏は女性の副大統領を指名するという事を公言しており、これによりヒラリー・クリントン氏を支持していた女性層を少なからず取り込む事に成功している。その為、少なくとも女性副大統領を選ぶ事は必須である前提で話が進んでいくこととなる。

 

彼女自身移民系であるものの、それで言えばバイデン氏自身も移民系である事から、直接的に移民系の副大統領を選ぶ必要性はなかった。

だが、厄介な事にBLM運動はどんどん激化し、これを沈める意味でも「黒人系」という条件が追加されてしまった為、この瞬間に候補は限りなく絞られた。

少なくとも白人女性は選択する事はできず、当然男性もあり得ない、この時点で少なくとも候補としてあげられる女性は片手で数える事も難しい状況となっていた。

 

全く関係ないが、私は選挙期間の活動を見て、実はバイデン氏のパートナーは支える役割だけでなく、彼女自身がある意味副大統領にすらなれる程の人物なのでは?と感じる事もあったが、流石にそれはないわけで。

 

で、恐らく早い段階でハリス氏の副大統領候補としての可能性は高かったのだが、クリーン(選挙において一切の反発を受けないニュートラルな状態)というわけでもなかった為、決断するに至らない状況だったが、BLM運動の激化と共に、反トランプという構図がより明確になってきたこともあり、もはや一部の黒人の反発を考慮するような状況ではなく、少しでも反トランプの票を取り込める事、そして既にバイデン氏を支持している票を失わない事、この事を考えたとき、仮に一部の黒人層からの多少の反発があってもそれだけの理由で投票先がトランプ氏になる事はないとチームは判断し、結果としてアメリカ初の黒人女性副大統領の誕生という可能性をたきつける事としたものと思われる。

 

特に、トランプ氏に対してバイデン氏は勢いで劣る(と、見えてしまう/実際予備選の時からその指摘は続いている)事もあり、若くて勢いのある副大統領を指名する必要があった事もあり、実はトランプ陣営がバイデン氏が予備選でやりこめられている事を揶揄していた事も相まって、その相手で会ったハリス氏が副大統領候補である事はイメージだけでなく、知名度的にも理にかなった選択となっていた。

 

そしてバイデン氏は今回融和や結束というキーワードを上げており、そういった意味でも自分を執拗に攻撃してきたハリス氏を副大統領に指名するというのは、まさにそれを体現する行動でもあった為、その決断に至ったものと思われる。

 

結果として彼女は黒人初の副大統領となる可能性が非常に高いわけだが、今もなお大丈夫かな…という疑念はある。

 

バイデン氏との方針の相違について彼女は支える側に回れるのか、そもそも既にバイデン氏自身がオバマ政権時代と同様にあまり多くを語らない姿勢を貫くと、比較的サンダース氏のように意見と主張を(やや攻撃的に…)明確に行う姿勢により、バイデン氏の存在感が薄まる可能性も指摘されている。さらにどうも彼女はそのほかの幹部候補との仲もあまりよろしくないのではないかと既に噂がでており、その事をどのようにバイデン氏が調整できるのかという事に新政権はかかっているとすら言われている。

 

いずれにせよ、ハリス氏以上に厄介なのは熱狂的なトランプ支持者である事はいうまでもなく、陣営の多少の不安定さよりもそちらに集中する必要があるのは言うまでもない。

 

特に今回も福祉政策はオバマ政権時代のそれを再投入してくることは既に明確であり、その度合いや方針をめぐる駆け引き次第ではまたもや分断を招くおそれすらあるわけで。

 

という事で、日本人から見ると「日本と違う新しい風」のような短絡的な見方をしてしまう今回の副大統領候補の指名ですが、それほど単純なものでもなく、バイデン氏が勝ったのはあくまでもバイデン氏の強さであり、別にハリス氏の存在による効果で勝てたわけでもないのですよ、という事です。