何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

5回から6回に変更されたわけで、6回から5回に減少させたわけではない

 

ワクチン接種 注射器不足 1200万人分減少 田村憲久厚生労働大臣 加藤勝信官房長官 菅義偉首相 自民党菅政権 2021.02.09 日本 新型コロナウイルス 20210210|極論空手形 / Extreme Argument Fictitious Bill|note

半分間違っている記事。そもそも5回分としていたのはファイザー社。韓国の方が準備が進められたのは元々韓国はワクチン確保に遅れておりスタートが遅かったので。逆に日本は確保が早かったので機材も先行発注だった

 

最近多い記事や意見。

 

この話しは既に言い尽くされている事ではありますが、元々は非常にややこしい話しであった。

 

そもそもファイザー製のワクチンはその供給方法も含め特殊で、希釈して利用する形なわけですが、その際当然ですがワクチンの摂取量が指定の割合以下となってはならないという事情があります。

また、特にファイザー製については保存時の制限だけでなく、使用開始後からの可能時間であったり、残存ワクチンの廃棄の厳守であったりと色々と利用方法に厳格な方法が定められており、扱いが難しいモノの一つでした。

 

とはいえ、早い段階から供給が始まった事から、既に既報のとおり各地で奪い合いや輸出制限まで行われる始末で、ワクチン供給網の再編の為の一時的な減産についても政府レベルで不許可を出すほどの混沌とした状況でした。

 

このような中で、年末にアメリカでの供給が開始されるとそもそも5回以上の利用が可能であることが明らかになります。厳密には欧州で開始された時点で場合によっては5回以上の接種が可能であったという話しはでていましたが、それは状況により異なるという事もあり、それ程大きな話題とはなっていませんでした。

しかし、アメリカでは選挙公約もあり迅速なワクチン供給網を構築する事が求められていましたから、この回数問題について話題は集中しました。

というか、アメリカ自体は実はこの課題にたいして国内の医薬機器メーカーの存在により解決策を持っている事もあり、そもそも国内事情としてそういった技術があるのにそれを活用しないという事そのものが異常な事態ではありましたので、当然の事として6回接種を行うべきだという話しになりました。

とは言え、ファイザー社は元々5回という利用方法を明示していたので、仮にそれを変更するのであれば政府や医療機関だけの判断ではできず、結果的にファイザー社自身が6回の利用が可能として利用方法を正式に改める事となりました。

 

しかしこれは日本に限らず現在大きな混乱をもたらしています。

 

そもそも全ての地域で6回の接種が可能ではない為、日本でも起きているような「なぜ1回分を破棄するのか」という謎な批判が巻き起こる事です。

これには2つの事情があり、一つは先にワクチンを確保できた欧州や日本のような先進国の事情と、一方で今後ワクチンがWHOから供給される先進国以外の事情です。

 

先進国の事情でいえば、先にワクチンの確保が出来ていたため、供給準備は昨年末から既に開始されていました。欧州でいえば秋口には開始されており、その時点では特殊な注射機の議論どころか情報すらありませんでした。

日本も元々1月末から2月頃には先行接種が始められるのではないか、という一つの可能性で準備を進めていましたので、輸送方法、接種会場、接種方法、接種対象者の先行方法、その後の管理等様々な議論が比較的早い段階で開始されていました。

しかし欧州も日本もこれが裏目にでており、既に国内供給の準備が進んでいる中で、年明けから回数変更が行われたものですから、当然特殊機材の発注は間に合いません。

これは日本だけでなく、欧州でも意見している人がそこそこいるのですが、この事自体には政府に落ち度はありません。むしろワクチン否定派を除けば一日も早く供給しろという圧力の方が強く、その最悪の状況がワクチンの国外/域外輸出制限なわけで、どれほど異常な状態であったかというのは言うまでもありません。

一方で、記事にあるとおり韓国では特殊注射器の製造に国内で着手しているというか、集中しているという話題はあり、これは事実です。

ただ、ここにも色々な事情があり、もともと韓国はワクチン確保に失敗していました。その結果、当時主要なワクチンといわれていたもの以外の中国製やロシア製も含め頭数をそろえるという自体になりました。

(とは言え、実はそっちの方が供給数は多かったので、どっちが主流かというと実際はなんとも言えませんが)

この事は韓国の現政権の致命傷にもなりつつあった事から、政府としては何がなんでもワクチン供給を間に合わせる(なお、日本も何故か直ぐに韓国との比較を持ち出すわけですが、お隣韓国もなぜか日本との比較が大好きなので日本の接種開始よりも早くという目標を掲げるという/お前ら相思相愛かよと・・・)事が至上命題となっており、その事も相まって、この6回接種可能という話しについて対応可能とする事が重要でした。

もっともこれに速やかに対応できたのは韓国が大統領制である事もありますので、仮に日本でそれを議論するとしても、自民党政権下でなかったとしても国会審議から始まり、民間企業への根回し等韓国のそれとは異なる時間軸で進めざるを得ない事情もありましたので、おそらく自民党は関係ないでしょう。

 

まぁ、それを差し引いても自民党がお粗末な対応をしている事は事実ですが、それはそれ、これはこれです。

 

2つめは後進国での接種時におそらく同様の問題にぶち当たる上、特殊な機器を用いたとしてもかなり厳格な管理がなされないとワクチンが適切に接種されない可能性があるという問題です。

こっちの方が非常に問題で、日本のような国はまだまだインフラも整っており、医療設備についても欧米ほどでないとしても十分な環境が整えられているというのが事実です。

一方で、後進国にも当然新型コロナウイルスの脅威は届いており、WHOでは公平なワクチン供給について有志連合により無償供給を行う予定でいます。

 

この時、元々の5回接種ではそれほど問題とならなかった接種量が厳格に守られるのかという課題にも直面します。

 

おそらく特殊な注射機は十分な量を供給できない事が確定している上、ワクチンの総数自体もおそらく不足する事が既に予想されています。

この時例えばファイザー製のワクチンは希釈して利用するわけですが、6回可能という前提が一人歩きした場合、適量の接種が本当になされるか、つまり6回という回数だけが前提でワクチンの摂取量が規定以下となってしまう(当然これは悪意によるものではなく、1人でも多くにワクチンを供給したいという明らかな善意の結果)事故やミスが発生してしまうのではないかという事です。

特に、前述したようにファイザー製では残存ワクチンは他の瓶とあわせて利用する事を禁止しており、その事もあって十分量、つまり5回目の接種時に不足する事が無い量を回数の前提にしていたわけです。

それが特殊な機材であれば6回可能となり、それを前提とした記述に見直されれば当然6回を前提として接種が行われ、例えば6人目で微量に足りない、等という問題が発生する事は既に議論の対象となっています。

 

このように、この5回から6回に変更するというのは、実際はいろいろな事情が絡み合っており、結果としては必ずしも良いことばかりではありません。

 

幸いな事に日本では比較的政権批判のネタとして利用される平和な感じでいられる事はある意味良いことなのですが、結構世界的には困ったネタで、欧州でも地方では供給数の計算への影響(数値上は6回でも現場では対応ができない)もあり、あまりのんきなネタとして扱ってよい話題でも本当はありません。

 

特に後進国への影響はそれなりに大きなものになる事も予想されており、先進国のように2回目、3回目のような調達や準備ができない事情もありますので、どちらかというとそっちの方が大きな煽りを受ける事が予想されており、非常に悩まし問題なわけです。

 

当然5回よりも6回出来た方がよいし、その準備が間に合うのであれば良いことですが、わたしの意見としては、その為に初回接種を遅らせるような行為はせず、兎に角既に整えたインフラで1人でも多くにまずは可能な限りワクチンの供給を行う事、準備不足というか目算違いについては当然議論するのも良いですが、後出しじゃんけんについての是非を議論する事はあまり建設的であるとは言えないので、どちらかというと、ではいつから6回接種可能とするのか、そしてその時期は取り組みは適切なのかという事のみが議論されるべきですし、さらに言えば、ワクチン接種率をどうやってあげるか(そもそも日本人では3割程度しか希望者がいないという絶望的な状況)の方が重要で、政府についてはそっちについて何とか解決策や啓蒙等あらゆる手段で筋道をたてる事について必死に取り組んでいただきたいし、そこがポイントなんじゃないかと思うのですが。

 

結果(6回に事実として対応はできていない)も大事ですが、過程も含め、今後の課題まで見つめた上で、何を批判し、何を受け入れるのかという判断はしたいと私は思います。