何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

憲法9条の議論とロシアの侵略を並列で語る事の無意味さ

中道ウハ@ゆっくり政治チャンネル on Twitter: "普通の人はウクライナ侵攻を見て、 「日本がウクライナの側になったらヤバいな、改憲も含めた安全保障体制強化をしよう」ってなるんですけど、 憲法9条を守ろうと主張する人たちって、 「日本がロシア側になったらヤバいよ、護憲しよう」って言っているわけです。これがズレてるんです。"

まぁ、普通の定義はしらないけど、多くの人は日本がロシアの立ち位置になる事はさっぱり理解できないだろうし、一方で日本がウクライナの立ち位置になる可能性はイメージできなくとも危機感は覚えていると思うのだが

 

普通の人が誰を指すのか判らないが、恐らくはコメントに書いたように、少なくとも日本人に限らず、どこの国の人もそうだと思うが、他国を自国が侵略する可能性よりも自国が他国から侵略される可能性の方をイメージするかと。

 

で、この両者にはそもそも決定的な違いがある。

まず前者の自国が他国を侵略するという行為は、実際にはコントローラブル/制御可能な事象であって、少なくとも日本に限らず、主権が国民に寄っている国であれば、一足飛びに侵略を開始するような事にはならない。

特に日本は大統領制ですらないので、自国防衛すら国会での審議がそれなりに必要であって、侵略どころか海外派兵でいえば、他国の支援ですら国会が大抵の場合は関与が必要。

 

一方で後者の他国から自国が侵略されるという行為は、アンコントローラブル/制御不能な事象であって、前者の話しとはそもそも比較する意味すらない。

 

で、憲法9条の議論をこの両者を前提に展開する事は、本質的には意味がない。

なぜなら、前述のとおり、そもそも両者は別な事象であって、起点も違えば、管理すべき対象も異なる。

 

なので、双方が9条について議論したいのであれば、それぞれが逆の問題について解決案が必要となる。

 

9条を維持するという意見であれば、では、他国からの侵略に対して、具体的にどのような対策が講じる事ができるのか。少なくとも今回のロシアの侵略行為の状況を見る限り、周辺国からの支援は限定的であり、また、同盟国においても、状況次第ではあるが、全面的な支援という事にはならない(結局のところ、第三次世界大戦や核戦争の回避を名目とするのであれば、対象が同盟国であろうがそうでなかろうが、結局はおいそれと参戦する事はできない事実に変わりはないので)わけで、その上で、自国の防衛を、不安を覚える人に対してどのようなプランを示すのかが必要になる。それが示せない限りは、少なくとも「9条を維持する事には大きな意味がある」という意見は非常にむなしく「貴方に尊い犠牲を強いても守る必要がある」といっているようなもので、流石にそれは、一般的に受け入れられない概念かと思う。

 

逆に9条を見直すべきだという意見であれば、では、日本自身の侵略行為についてどのように食い止めるのかというアイデアが必要となる。

が、これはなかなか難しい。

というか、そもそも別に9条がなくとも今の日本ではシステム的には直接的に侵略行為を行う前提はないし、仕組み的にも行う術はない。

が、結局「自民党は信用ならない」という所謂反自民的な意見が多く、システムで整備されていても「守らない」という反論をされ、そこに感情が絡むともはや議論の余地はない。

 

まぁ、実際自民党のこれまでのやり方を見ている限り、システムを悪用するよね、という意見は判るが、その次元が、人命というか、そこにある危機を見ても高い理想を優先すべきと言われると、私も、いや、僕は理想よりも現実的に自分の命や家族の命、もっと言えば、そんなレベルではなくて、もっと単純に、他国から侵略される恐れ、そういった事に不安を覚えなければならない状況をどうにかできないものか、という単純な意見を持つ。

 

個人的には9条を維持すべきかどうかでいえば、時代にあった形に変化させる必要はあると思う。

特にこのロシアの侵略行為の状況を見て、台湾有事もかなり現実的な話しとも言える上、例えば北朝鮮のミサイル発射事故が起きるケース、その他ロシアが日本と明示的に敵対している発言を繰り返している状況であったり、また、アメリカとロシアの対立が激化した場合、ロシアは手っ取り早くダメージを与えるとすれば、日本を狙うのが一番単純にやりやすい(アメリカ本土を狙えば完全な大戦になるが、日本であれば間接的なダメージに止まり、少なくともアメリカがいきなりロシアに対抗して侵攻する事はない、せいぜい日本国内に侵攻したロシア軍に対して対応してくれる程度)わけで、そういった危機について、何かしら政府は具体的なプランを練るべきだと思うし、発表も必要だと私は思う。

 

少なくとも日本の近海、というか海峡をロシア軍艦が難度も航行しており、他にも領空侵犯なんてものはウクライナへのロシアの侵略行為が始まる前から行われている事であって、そもそも他国の軍隊が平然と日本の領空に対して予告なく侵入するというのは、控えめに言って普通の事ではないし、となりの国からミサイルが撃ち込まれるなんてのは中東でもそこまで頻繁に行われているわけでもない。

 

実は日本はそれなりにリスクのある状況であって「志が高ければなんとかなる」という程甘くはない。

 

そもそも、システムの不備、つまり自民党を信用ならないのでシステム的な整備では不十分だ、という意見を正とすると、どんな仕組みを作っても無意味で、それこそ9条自体が存在する意味がない。

 

なぜなら、別に時の政府が憲法を守る保証自体がなくなるわけであって、そんな状況を前提とするのであれば、もはや議論は成立しない。

 

なので、9条を維持するにしても、改めるにしても、もう少しどちらも真っ当な議論をしないと、あまりにもアホな言い争いでしなかう、その他大勢の「普通の人」からすると、どちらも誇大妄想に取り付かれた陰謀論者、としか認識されていないわけでして。

 

まぁ、この近代においてここまで明確な侵略行為をする国が現れる、それも台湾有事以外の事象が起きるなどというのは正直ほぼ全ての人が想像していなかっただろうし、それだけ今までの前提は絵空事だったという事は理解する必要があると思う。