何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

養育費未払いに対する法整備は徐々に進んでいる

私自身は弁護士でもなければその他士業に従事する人間でもありませんので、正しい情報や本件に関する詳細は適切な弁護士にご相談を。

 

全く関係のない話しですが、件名のとおり、養育費の未払いに対する法整備は徐々に進んでおり、昔話のような未払いに対してなにもできない、という状況は「若干」緩和されています。

 

少なくとも財産開示手続きに伴う裁判所からの召還を無視する事は既に令和2年の民事執行法の改正により刑事罰が科されるようになった為、昔のような無視すればいい、等という事にはなりません。

 

以前は、刑事罰が科されるわけでもなかったので、未払いに対して財産の差押えを行う為に開示手続きを行ってもそれに従わない不届き者(そもそも正当な理由がないかぎり養育費を払わない時点でアレなので、手続きに従うのかという事自体が・・・)もそれなりにおり、その結果として、未払い者に対する執行が難しいという問題がありました。

これらについて改正が行われ、財産開示手続きに従わない(出頭に応じない、宣誓を拒む、開示を行わない等)場合等、刑事罰が科される恐れがでてきましたので、これまでのような逃げ得という状況は限りなく減っています。

 

当然ですが、未払いを行っている側ではなく、受け取る側が面倒な手続きをしなければならないという釈然としない状況は依然としてありますが、それでも刑事罰が科されるという結果は一つの進歩だと思います。

 

また、同時に「第三者からの情報取得手続」が新たに整備されており、これによりそもそも応じない相手や適切な情報を開示しない相手に対しても一方的に泣き寝入りする事がないよう一定の手続きが整理されました。

これは、今までは正直なはなし金融事業者であっても差し押さえをするというのはなかなか面倒で、その面倒な手続きを自前でおこなうぐらいなら、正直債権売却する方がマシ、という事も少なくありませんでした。

そのような手続きを個人が、それもひとり親になった養育者が行うというのはなかなか大変で、そもそも差し押さえは「空振る」というリスクもある事から、仮に士業の方に相談しても必ずしも結果がでないというジレンマもありました。

この点について本整備により、それぞれ監督や管理する機関が所有する情報について裁判所からの開示手続きに応じるという仕組みが整備され、少なくとも各機関が保有するその時点の情報については裁判所を通じて一括して入手できる可能性(あくまでも可能性です)がでてきました。

 

もっとも、これ自体は情報を取得する手続きであり、実際の回収は別途実務的対応が必要なので、当然ですが、不届き者がそのまま対応するのか、という問題もありますので完全に解決しているわけではありません。

 

が、何事においても整備は段階的に進むものですから、まずは令和2年の整備により社会的にどの程度問題が改善されるのか、という事が重要で、これでも改善が進まないようであれば、それこそもう一段階踏み込んだ整備が行われるのであろうとは思います。

 

この辺りは、私個人は、共同親権と合わせてそもそも養育費の未払い自体に刑事罰を科す方が合理的(仕組みの問題はありますが)であると考えますし、権利と義務の関係からも適切な関係になるのだろうと思います。

但し、未払い自体を一律刑事罰を科せない事情は当然あり、支払者の能力が不足している(合意時とは経済的事情が異なる場合等)状況もありますから、その点の配慮は必要ですが。

結局のところ現状も同じで、相手に支払能力がある事が認定できないと支払う意思がないことの証明ができない。

 

未払い者を相手にする方からすれば、まったくもってまだまだヌルいし、なぜ被害を受ける側が面倒な手続きが必要なのか、という思いはあるでしょうが、被害や権利を申告する事自体は事務手続きの開始上は必要な事ですから、実務的にはその負担の軽減と、そのような実体が生じた場合、結果として適切なペナルティを与える(刑事罰又は直接的な差し押さえが強制的に行われるような仕組み又はその両方/但し諸権利との兼ね合いがあるので直接的に強制的な差し押さえは現実的には難しい)事を目指すという感じかと思います。

 

小さな一歩のように感じますが、まずは、という感じで受け止められればと。