何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

野党が勝てないのは高齢者の得票数が多いからではなく、根本的に野党の支持率が低いのが原因

【出口調査】比例投票先 全年代で自民が3割超 30~60代では自民に次いで維新(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

これが現実。野党が勝てない理由として野党支持者の最大の勘違いは若い世代の母数が少ない云々を嘆いているが、仮に世代が同数の票をもったとしても自民党が第一党である事に変わりが無いのが現実で認識を改めるべき

選挙結果がでました。

概ね私の予想どおり、自民は無難(私の予想よりも伸びた)、維新は伸びる(予想よりは控えめ)、立憲は現象(私の予想よりは踏みとどまった)という感じで、唯一は国民民主党の減少は明らかに予想を外しました。

 

立憲民主党、また共産党が伸びを欠くのはそもそも今回の選挙に限らない話しですが、特に立憲民主党はれいわの登場によりその個性も失いつつあり、今のままでは現実的には以前から述べているように社民党と同じ道、つまり役割を終え、緩やかに消滅する方向に舵が向かっているのが現実です。

共産党に関して言えば、特段なにかの登場により役割を奪われているわけではありませんが、こちらはそもそもそれ以前から比例票を見てもわかるように、緩やかに支持を失っており、恐らくは今後もその傾向には歯止めはかからないものと思われます。

共産党は局所的に伸びる事もあるのは事実ですが、党としての支持が拡大したというよりも野党の混乱や自民の大敗の結果での伸びと評価するのが現実で、且つ、共産党社民党同様に、一時期の勢力と比べると、今のそれは現実的には減少と評するのが妥当かと私は思います。

 

両党の何れにも言える事としては、おそらく党としてのあり方を変える必要がある事は党運営側としては理解しているものの、支持者がそれを許さないというジレンマがあるのだろうと思います。

 

その一つが若い世代の人口が少ないのだから高齢者の支持する政党が勝つ、という謎理論です。

 

そもそも出口調査にあるように、自民党支持者が多いのは高齢者に限りません。

これはここ数回の国政選挙におけるトレンドで、むしろ若い世代の自民党支持は依然より安定してきており、仮に全ての世代が均等に票を持ち投票を行ったとしても、現実的には大勝する事はないものの、第一党は自民党であり、あとはどこと連立を組みますか?という程度の差であって、別に若い世代が野党を積極的に支持しているわけでもありません。

 

おそらく運営サイドはそれを理解しており、ある程度舵取りに反映する必要があると理解していると思われますが、ここまで議席を減らし、支持層が偏ってしまうと今さらその支持層すら失う事は恐ろしい事であり、結果として、本来有るべき流れに戻せないまま、というジレンマに陥っているのが現状で、ぶっちゃけ支持者が現実を見つめ、どうあるべきかという事に気付けないと、冒頭に書いたように両党は緩やかに消滅する流れになるのではないかと思います。

 

私は、依然もNHK党に触れましたが、あの手の主張は兎に角に強く、別に野党第一党になれなかったとしても一定の得票を見込めるため、少なくとも国政選挙では現実的に議席を取ってしまうわけです。

特に今回東谷義和氏が当選しましたが、ああいった、極論言えば、政治にそれ程感心はないが、誰かに入れるなら、という選択肢を提示する事、そういった戦略は現代的であり、良く考えている戦略だと思います。

 

その他、れいわと参政党は支持者は否定するでしょうが、根幹の戦略は同じです。

どちらもいわゆるどの政党もそれ程踏み込めない(踏み込まない)領域に興味関心を持つ有権者に選択肢を与えるというもので、内容は違いますが、戦略的には全く同じです。

 

但し、私はれいわよりも参政党の方が恐らくは脅威で、れいわがいわゆる戦法としては自民と同じく知名度により得票を伸ばす作戦しか使えていない事に対して、参政党はそういった戦略がないまま議席を獲得するというところまで来ています。

なお、実際には知名度のある方も出ておられますが、れいわや自民程そこに頼っての得票というわけではないという意味

 

正直、現時点ではこのまま勢力が拡大するとは考え辛いのは事実ですが、今後政策の在り方や活動の進め方によっては、自民系、維新系支持者の獲得はあり得ない事ではありませんので、その場合、野党第一党になる可能性がゼロであるかというと、そこまで楽観視できるものでもないと考えます。

 

また、今回の選挙でも野党共闘をしなかったから、という理由を挙げている人もいますが、おそらくそれも絵に描いた餅です。

 

野党共闘をした場合、メリット・デメリットの両方が生まれます。

 

現実的には一定の効果があるのかもしれませんが、国政選挙という視点でみると、それは単純に一部の議席自民党から奪う程度のモノでしかなく、それにより野党の力を示せるものではありません。

 

この事実は皮肉な事に維新が一番理解しているようです。

維新は今回躍進したわけですが、その中でも「我々は力不足。負けを認めざるを得ない」と反省の弁を述べています。

これはとても正しい現状認識で、維新が躍進した事は事実ですが、その事実をもっても自民が堅実に得票している事実、特に全国且つ全世代でトップの得票をしている事実を見れば、局所的な勝利に浮かれる余裕はありません。

 

とても皮肉な事ですが、今立憲民主党共産党に必要なのはこの視点です。

選挙全体で何がおきているのか、何と戦っているのか、有権者は何に興味を持っているのか、特に自分達の支持者と競争相手(通常は自民党)の支持者の違いはなにか、何が得票に影響したのか、そういった視点を客観的に持ち、有権者に媚び諂う必要はありませんが、世の中が求めているもの、特により大きな集団がどのような視点を持っているのかを冷静に見つめる事が大事です。

 

一方、このような事を言うと「少数意見は蔑ろにされるのか」と謎な意見を持ち出す人もいますが、そうではありません。

 

その点については、私は連合の芳野会長の進め方はある意味現代的であると感じています。

つまり、別に敵を作る必要はなく、現実としてこれだけの支持者がいるという現実を盾に決定力のあるところとの交渉を進め、その中で、一つずつ要求をのませるという事も重要という事です。

 

現実問題、少数者の意見を真っ向勝負で通すのは至難の業で、国会という場で考えればよりその難しさは際立ちます。

 

確かに弱者の為に、と言えば聞こえは良いですが、連合がこの数年間野党を支持している間に、民主党の崩壊と共に経済界は一気に与党支持への傾き、同様に選挙のトレンドが企業支援により偏った(コロナ過という影響を考えてもより顕著になった)事を見ても、与党と明確に距離を置いた結果の反動は大きかったと思います。

 

特に、今国際社会を見ても、企業の活動は特定の国による規制や法律との戦いだけでなく、国際社会の中での在り方や規制、そういったモノとの戦いでもあります。

その中で現実的に方針策定に関与できるのは現状の与党系だけですので、必然的に企業サイドとしては与党に歩みよる必要があり、その両者の距離が近づいた分だけ、対労働者という視点では不利な局面が増える事は否定できません。

 

幸いにもコロナ過という事もあり、現時点で一足飛びに企業優位な何かを持ち込む事はない(まったく無いわけではないが)ですが、コロナが落ち着いた後に現状のままであれば、結局は企業主導でルール再編が行われる事は必至で、その状況でよいのか、というジレンマは残ります。

 

またこの進め方で有効なあり方としては今回自民党の比例で当選した赤松氏も良い事例だと思います。

確かに自民党という中で彼の存在がどの程度の影響があるかといえば、私は限定的であると思います。

が、彼は支持団体なく約53万票という得票をしており、これは無視できるものではありません。

単純に赤松氏が何を支持したいかは明確であり、極論言えば、彼が政党を移ると全てとは言いませんが、その支持者の一定の割合が他党に流れる上、彼の情報発信力の強さも明らかになりましたので、彼との対話は一定の配慮が必要という事も明らかになったと思います。

それでも、大きな自民党という中ではやれる事には限りが有りますが、全てを失うような選択をさせられる事は避ける事はできるでしょう。

そういった意味でも、清濁併せ呑む、ではありませんが、守るべき何かがある中で、幾つかの選択肢や条件の中で選択できる可能性を残すという事は非常に大切で、その選択肢の残し方、選び方というものを示したと私は思います。

 

一方、こう言ってしまうと、みんな与党にすり寄るしかないじゃないか、と、感じるかもしれませんが、そうではありません。

 

ここまでの話しで大事な事は全てそうですが、支持者がそういった現実をまずは理解する事です。

その上で、各党の主張は、どういったものであるか、何処は譲れないのか、そういったメリハリが大事で、そのメリハリを出す為には、支持者がそういった状況を理解し、妥協する事を許容する、そうやって戦う事が必要という事です。

 

正直、私から見て自民党の強みは2つあります。

 

1つは単純に与党であるという事です。

今のような変化が激しい状況下では、多くの人は荒波ではなく凪を求めます。

只でさえ厳しい現状を、より激しい波や流れで乱せば、耐えられないという感情を持つ事は決しておかしい事ではありません。

結果として変化よりも停滞を選択する人が一定数出てしまう事は想定され、それが一つは自民党の強み、というか、優位に働いているのは事実です。

 

もう1つは、政策が尖ってないと言うことです。

野党支持者からすると自民党はマイナスばかりの主張をしているように感じているのだと思いますが、客観的に見れば、どれもこれも大して尖った主張がなく、全年代に少しづず配慮しているのが現実です。

例えば、憲法改正一つとっても、それにより日本が戦争を仕掛けるなどと考えている人は明らかに少数派で、多くの人は、単純に今のままでは不安だ、という気持ちをもっており、そこに対して自民系は「だよね」という相づちを打っているだけの事に過ぎません。

なお、当然ですが、自民としてはその相づちの裏に、政党としての思惑は持っていますが、そういった事は皆同じです。

例えば先ほど述べた連合であっても同様で、労働者として求めるモノがあり、その条件とのトレードオフで何かしらの支持をするわけです。

こういった「ある人の不安や課題」に対して、満遍なく回答を準備するというのが自民党の政策であり、そして、マイナスについても満遍なく存在しているというのも特徴だと思います。

 

なお、あえて「満遍なく」と書きましたがこれはとても重要で、選挙で勝つという事を考えた場合、どうしても一定の対立が生じる事は避けられません。

 

例えば、高齢者福祉を優先するのか、子育て支援を優先するのかという議論一つとってもそうですが、実は両者に負担を強いているというのが現状です。

高齢者向けでも打ち切りや減額は普通に決定されており、特段高齢者だけが優遇されて増額等の決定がなされているわけではありません。

子育て世代から見ると自分達が高齢者支援の犠牲になっているように感じるでしょうが、事実は高齢者支援「も」削られているというのが実態で、実際にはこの両者に対立などありません。

同様に子育て支援を見ても、依然の在り方と変わっており、全体でマイナスとなっている人もいれば、純粋に増加した人もいるのが現実で、一方的なマイナス、一方的なプラスというわけでもありません。

これは高齢者と子育て世帯を対比しても、子育て世代同士を対比しても、一長一短があるというもので、簡単に言えば、最小限のマイナスで留めるように「見せかけている」という上手い戦略です。

もっとも「見せかけている」と書いているように、そのトリックで何かが何処かに流れているのはありますが、有権者同士が争っている状況ではそれ自体はあまり意味はありません。

だからこそ有権者、支持者はそういった事実を理解する必要があり、選挙の都度「若者の意見は無視された」とか「高齢者の人口が多いから勝てるわけがない」とか「子育て世代はまた高齢者支援の犠牲に」という、存在しない対立を煽るのではなく、今、それぞれが実は負わされている負担があり、それぞれの世代が、それぞれの課題を持っている事が現実で、その中で、実は取捨選択した結果が全世代で自民党が支持率が高い結果となっているという事実であって、それを理解した上で、では自民党に勝つためにはどの世代、どの属性のどの主張を上手く対応すべきなのか、その為にはどのような調整が必要なのか、そういった方針を積極的に支持する事が大事なのだと思います。

 

当然、既に存在するマイナスに対する対策が不足しているという現実はあります。

が、選挙という視点では、積み重ねを考えた場合、過去のマイナスは過去の選挙でも織り込まれているのが通常ですので、国際的な関心等の何か大きな影響が無い限りは、既に存在するマイナスにより得票数が大きく変動する事は通常ありません。

 

こういった「不合理な現実」をおそらく既に政党サイドは理解しており、それを生かす政党、生かせない政党、その差が今後はより顕著にでてくるものと思われます。

 

それを生かせるかどうかは、実は政党サイドではなく、支持者、有権者のサイドがボールを握っており、その決断を支持者や有権者ができるのかどうか、それが今後の選挙の行へ、日本の未来を握っているのだと私は思います。