何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

限りなくグレーな感じではある

mipsparc@C100 8/13(土)東メ12a鉄道島 on Twitter: "【RT希望】PR TIMES(東証プライム上場)のエンジニアですが、複数の法令違反を内部通報したところ、他の理由をつけて試用期間における普通解雇を通告されました。 具体的には、ニュースサイトを無断クローリングして企業に提供している… https://t.co/fn60KPCMdL"

情報が断片的なので正しくはわからないが、他社媒体上の記事をクローリングする事、それを自社のサーバに保存している事までは目的次第、一方でその記事データをそのまま第三者へ提供しているのであればアウトかなと

うーむ、なんともいえない事案かと。

 

既に消されていますが全文を読んだ限りなんともいえず、特定の条件下では確かにかなり危ういといえるものの結論を出すにはちょっと情報が足りないかなという感じですね。

 

なお、以下の見解は個人の知識・経験に基づくものですので、必ずしも正しいとは限りません。正しい情報や判断については専門の高い領域ですので、そういった分野に詳しい方や、弁護士に相談しましょう。

 

さて、コメントに書いたように、まずネット上の第三者の著作物を収集し保管する行為そのものは、目的が適切である限りは問題となりません。

一方で、収集し保管したデータをそのまま他社に提供しているのであれば、それは問題が発生する恐れがあります。

どうも保存された記事の活用方法は2つあるようで、一つはレポーティング機能の成果物に利用されている事と、もう一つは過去記事検索機能での照会の2つがありそうです。

 

まず前者について考えると、有償サービスの中のレポーティングの成果物として、記事の一部を引用し提供したという事であれば、それが引用の範疇であれば影響は限定的なのでは、とも思われます。

ただ、引用とするのであれば、それなりに成果物上で主従関係が成立する程度のコンテンツである必要があるわけですが、サービス内容(概要)を読む限りだと、それ程確りとしたレポートが提供されるわけでもないのでは?、というか、そもそも月1万円なので、基本的には自動的に収集は行われ、且つ、その収集するキーワードもクライアントが指定し、その指示に基づいて収集された結果が管理画面で閲覧する事ができ、その結果はレポート(EXCEL等)としてエクスポート可能、という雰囲気のもののようですから、引用と見做される程の構成となっているのかというのはちょっと判断しかねます。

 

少なくとも、主従関係の無い構成、極論言えば、レポートという出力物に、収集した記事データがそのまま貼り付けられているだけ、それも貼り付けたデータの方が出力されるレポートの主たる内容であると判断される程度のものである可能性もありますから、これはなかなか判断が難しい。

 

次に後者について考えますが、保存された過去記事を検索でき、内容を参照できるという機能は文字通りの意味であればアウトな気がします。

例外があるとすれば、コンテンツ提供者(つまり媒体側)に許諾を得ている場合であれば問題は無さそうですが、そうでない場合であれば余程上手い仕組みになっていない限りはアウトのようにも思えます。

 

とはいえ、私は本サービスを使っているわけでもないので、正確な判断はできませんので、今後の進展に期待というところでしょうか。

 

また、電気通信事業法に該当する役務の提供について届出していないという話しもでてきましたが、こちらも結構判断が難しいのではないかと。

私も電気通信事業法の届出を行っておりますが、これは、当該サービスが特定通信を媒介する仕組みを持つからであって、特段そのような意図が存在しない場合や、電気通信事業法上、もともと例外として届出の必要がないとされているものであれば、実は思っているほど届出の必要もありません。

私の場合は、事前に総務省の担当部署に相談させていただき、届出時に使う書類をベースに具体的な構成や仕組みを説明した上で、届出の必要性があるとの助言をいただいたので届出をしましたが、その相談の中でも、ケース分けして必要・不必要という場合もありましたので、個々に説明を追加し判断いただいた程度には情報の整理は必要です。

 

その為、事前に弁護士等も含め、法律上の扱いの確認や、総務省等の関係法令を所管する機関への相談等をしているのであれ、問題無い可能性もあります。

 

以前ネット上であった話しとして、あれも届出が必要、これも届出が必要と違法行為を勝手に認定をする謎の集団がいた時期があるのですが、実際には結構不要なものが多く、というか、特定のケースを除くと案外不要なケースが多いというのが実情で、ネット上のなんちゃって有識者が暴走しただけというのがあの実体でしたので、この辺りはちゃんと詳しい人に相談する、所管する機関に問合せする、そういった手続きを踏まないとなんとも言えないというのが私の感想です。

 

上記の点は私の個人的な見解ですが、なんというか、こういった類いのサービスを運営する企業は案外多いので、もしも自分の会社が何か間違った事をしているのではないかと思った場合は、一度まずは冷静になった上で、勉強と思いそれぞれの法令や相談窓口を使いまずは知識を深めるところから始める事が大事だと思います。

 

大抵の場合は、会社は「そうだね、これはまずいね」という事にはならず、グレーなサービスは大抵がグレーになるように設計しているものでして、その時点で、大抵の場合、弁護士事務所にも相談し、必要であれば意見書を発行してもらう程度には予防線を張っているものですから、指摘しても動かない場合は、そういった事を理解した上でそういった仕様にしているのだろうという理解をするしかないのかなと。

 

もっとも、最近では、稀に本当に何も考えていない会社もあるようですが、通常は、そういった企業が珍しいものでると考える方が無難です。

 

本件は既に労働紛争に到っているようですから、あまりサービス自体の正当性という点は関係がない気もします。

解雇に到った理由に合理性があるのかどうか、適切な手順であったのかどうか、その点のみが労働紛争の焦点ですから、内部告発について言えば、手続きとして適切な手順を踏んだのかであったり、その後の対応として関係者間で双方適切なコミュニケーションが図られたのか(難しい点として、内部告発そのものは告発内容の正当性を保証しない)という点も含め、今後は手続きに則って処理されるのだろうとは思います。

 

告発者自身は支援も募っているようですから、興味のある方は支援されるのも良いかもしれませんね。