元フジテレビアナウンサーが主張する「専業主婦が増えれば少子化は解決する」という意見がいまさら過ぎて頭痛が痛い。 : シェアーズカフェのブログ
彼のブログは別として全体の3分の1ってのは冷静にみてかなり大きな数値だけど…あの項目で見るべきは年収による意識の変化で、中間層では専業主婦を望む層が増加し、一方で高所得になると一転減少するという事だろ
2014/12/18 01:25
よんだ。
この記事は某元アナウンサーのクソ記事に対する意見なんですが、記事全体の構成は別として、この方のデータの読み方も結構つらい。
普通に考えて、全体の3分の1というのはそれなりの意見が存在する事をあらわしているわけで、全体の半分にもみたいないなんてそれほど大きな意見ではない、と結論づけるのはちょっとこちらも暴論です。
まず、専業主婦を望むか否かのデータの部分ですが、あのデータで見る事は2つ。
まず1つは、全体の意見としては専業主婦を望むと考える割合は全体の3分の1程度であること。これは、ある一定の意見の規模を持つということを表します。
もう一つは、収入によりその割合はある程度変化がみられるという事。
例えば、200万円未満および400万円~200万円の年収では肯定的意見はそれぞれ30.6%と30.4%であり、全体の34.2%から若干減少しています。
一方で400万~600万では一気に増加し40.9%と全体よりも上回ります。
600~800万及び800万~1000万でも同様で、それぞれ37.4%、48.1%といずれも全体より上回る結果がでています。
しかし1000万超になると一変し肯定を示す意見は、12.5%にすぎなくなります。
この変異についてこの単体のデータでは結論は出せませんが、収入がその人の意思決定にある一定の影響を及ぼしている、それも、平均年収を下回る場合は専業主婦という意見に対して肯定を示す割合が減少し、それを上回ると一気に肯定的意見が増加するわけです。
例えば、一つの仮説として、某元アナウンサーのいう専業主婦を増やせば子供が増えるという事が正しいとするならば、子供増やすために必要な事は単純で世帯の収入を増やせばよいうという事がわかります。
ただ、そのことを証明する為には、最低限2つの情報を入手し整理する必要があります。
まず一つは、世帯の就業状況と出生率の関係についてわかるデータ。
単純な話、世帯の就業状況(共働き、専業主婦/主夫や自営などの属性)に世帯収入がわかると出生率との関係性はだいぶわかります。
ただ、このデータだけだと日本固有の事情(つまり、そもそも専業主婦率がその他の国と比べて比較的高い歴史的な背景がある)がり、年々グローバル化が進む近代において今後の判断をするうえでも少し心もとないところです。
そこで2つめで、各国の就業状況と出生率の関係についてわかるデータ。
国により歴史的背景や周辺国との関係、例えば、日本でいうと東日本大震災前後であったりそういった事を起点として人の考え方は変わったり、例えば、中国や韓国との関係悪化による精神的な不安の増加であったり、そういったものが就業状況にかかわらず出生率に影響を及ぼすことがあります。
そのあたりのノイズを除去するために、ある程度様々な国のデータを準備し、その変化の要因を整理し、そこから日本の事情をもう一度見直すことでだいぶ分析結果の精度を上げることができます。
以上の2つは、最低限必要なデータであって、実際にはもっと複雑な要因もありますからあれですが、単純に出生率を上げるためには専業主婦を増やせばよい、という一つの仮説を証明するにもこれだけの手間がかかるのです。
これでも、そもそも個人の意識の変化(豊富な情報社会になったことによる影響)であったり、女性の社会進出率の増加による女性自身の意識の変化、それに伴う男性の意識の変化、そして、近年でいえば政府の行動による結婚および子供を持つことへの意識の変化など、前述の関係性だけでなく、そういったことの影響も整理しないといけないのは言うまでもありません。
また、私的にはコメントにも書きましたが、そもそも子供を持つという選択肢を選ばない人の変異も着目しないといけないのではないかと考えています。
先日の記事でも書いた通り、既に子供がいる世帯というのはいない世帯と比較すると少数派になってきており、この数値は今後も減少するため、子供を育てるという体験そのものが減少します。
“体験”というのは非常に人の考え方に大きな影響を及ぼすもので、子供との接点がすくなくなればなるほど、あるひとつの物事をきっかけにした“子供”に対する考え方の変異が極端になるおそれがあります。
つまり、身近に小さい子供がおりそれに触れていると、子供が泣くという行為への免疫もある程度備わる人もいるのですが、自分より年齢が著しく低い子供と全く接点がないままであると、“嫌い”という感情よりも“わからない”という不安の方が増加するのではないかと考えます。
つまりどう接すればいいのかわからず不安になり、その結果“苦手”という意識に変わってしまうという事です(推論ですが)。
これは実は“嫌い”ではないので、結構深刻な問題だと思いますけどね。
まぁ、もともと子供が苦手な人は一定の割合でいますから、体験を通じてそれがどのように明らかになるのか?という違いはあるのですが、弟の面倒やいとこの面倒などをみていると、他人のそれよりも圧倒的に意識への負担は軽いですからね。
出生率の増加というのは、言葉にするほど簡単ではないので、記事を書くときは本当によく物事を調べないといけないと自分でも思います。
特に専業主婦を増やすと出生率は上がるという暴論は個人的にはよくないと思っています。
理由は2つあって、昔の事実(つまり、専業主婦率が著しく高かった時代は出世率が今よりも高かった)は、専業主婦率の高さにより出生率が高かったという事の因果関係について調査されたことはおそらくない事と、選択肢としての専業主婦率を上げるべきという意見は、そもそも個人の人格を否定する色が強いためです。
特に前者の話は私が知らないだけかもしれないのですが、私的には過去の日本で出生率が高かったのは、専業主婦率よりも子供を持つという事の常識としての認知の深さの方が影響しているのだと思っています。
つまり、昔は、結婚するという事もそうですが、職場先でも斡旋されるぐらいで、あるいみ強要に近いものもあったのではないかと思うんです。
それと同じで、結婚したら子供を持つべき、跡取りが必要である、というような歴史的な考え方に基づいた心理的影響により、過去の日本では出生率が高かったのではないかと考えます。
そう考えると、実は専業主婦率を高める事による出生率の改善効果はかなり薄いものになり、多少は改善すると思いますが、効果的な対策としては別な選択肢の方がよいかもしれません。
例えば、長時間労働の廃止の方が僕は圧倒的に効果はあると思うんですよ。
当然、複数の対策を同時に取ることの方がもっと重要ですが。
この部分はちゃんと分析していかないと相当キツイです。
ちなみに、海外との比較データは多少散見されるものの、あれらのデータもかなり荒い(関係性を示すには内訳が外の人間からではわからないことと、取るべきデータが不足している)ので、結論を出すにはもう少し綿密な調査が必要だと感じます。
現時点で日本の税金の負担は限界に近いものがあるので、財源の関係上政府の支援による専業主婦率の増加という選択肢は私にはないと考えます。
そう考えると、経済的な安定性と長時間労働の廃止をうまく成立させて、”子供をもつ”という選択肢がまずは選択可能な状態を作ることが第一ではないかと考えます。
その次の手が、“子供を持ちたい”とより思う環境の整備だと思うですよ。
僕は少子化問題を議論するには、まずはここからだと考えています。
そして、ドルトムントはいい加減トップレスをやめろと強く言いたい。
そんな感じです。