何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

ネットによる署名は否定しないが、少なくとも賛同人や発起人に対してすら確認を行わないのは流石に怠慢すぎ

 

(ネット)署名という仕組みに否を突き付けている人が多くて困惑している - 発声練習

多数の無名の一署名の成りすましと、賛同人、発起人の成りすましは次元が異なる。場合によっては賛同人や発起人の名誉すら毀損する話しであり、少なくともそういった立場として扱うのであれば確認は必須だと私は思う

 

私は時代と共に手段は変わるべきで、必ずしも古い手段が排除される必要はないものの、ネットの活用に限らずやはり、その時代に合わせた新しい手段が登場すれば、少なくともその方法について理解をし、広く活用する術を検討すべきだと思っている。

 

そのうえで、今回の件でいえば、一番ダメな形となっているのだと思う。

 

例えば、署名(本件はオープンレターだが、実質手続きを見ればただの署名の扱い)に対して権威付けをするために、賛同人として特定の個人、それも職業等も付した形で、これだけの人間がこの署名に同意しており、中には著名人や業界などによりそれなりの地位をもった人もおられますからね、という氏名の公表を行っている点。

 

単純なネット署名において、個々人の氏名、職業等は実はそれほど重要ではない。

どの程度の人数が同意しているのか、いわゆる筆数が結果的には重要であり、そのうえで、個々人がそれに同意しており、その活動を支援する場合、一般的にはその個人が自らそれを支援している旨宣言するか、または、その活動自体に参加し主要な人物として活動する事で広く支援を募ると言う形となる。

この場合、本人が宣言しない限りはそもそも誰かが勝手に偽名で署名したとしても、それ程影響力はない。

いや、実際には不適切な行為ではあるが、実体として、不正を行った人がいる、または、不正が行われた署名活動であったというだけであり、それ以上でもそれ以下でもない。

また、ネットか否かに限らず、一般的に本来署名活動における署名では後の本人確認の場合も想定し、住所を含めた署名を行う事が一般的だが、残念ながらネットにおける署名ではそれをしていないという問題点(メールのみで実在正証明/確認はほぼ全てのサービスで行われていない)はある。

とはいえ、結局はソレによる不利益は限定的である上、現時点でネット上の署名により効果を持つ手続きは私が認識する限り国内では存在しない為、特段それ以上の法整備は、それらが法的効力を持つ段階に到らない限りは不要だと思う。

 

他方、ネット署名であっても、例えば賛同人として特定個人の名称を利用し、賛同者を募るようなケースであれば、当然その賛同者の意思確認は必要だと考える。

なぜならば、極論言えば、それを怠れば、その活動によりその賛同人に対して不利益を及ぼす場合もあり、それは余りにも無責任だからだ。

当然、賛同人という事で個人の名称を利用された場合、その活動における影響について一定の責任を負う(発起人ほどではないとしても、少なくともただの参加者とはいえない)事となるわけであり、当然、ただの参加者よりはその活動について深く理解し、場合によっては具体的に個人の意見を述べる事ができる程度の理解は必要であると考える。

特に、それが社会的に影響を及ぼす事象、特に今回のように、特定個人に対して明確に否定ないし排除の意思を示すようなものの場合であれば、少なくともそれに賛同するという事の意味、行為の重さ(ソレにより相手方に生じる不利益に対する責任はおそらく司法の場でも負う可能性がある/一般的に活動とは無責任に行える事はでなく、場合によっては当然一部の行為は処罰の対象ともなり得る)を伴うわけであり、それを共に負うという事であり、それを無責任に行うというのは余りにも非常識だと私は思う。

 

こういった行為は、ネットを活用した様々な今後の行動に悪影響を及ぼすおそれがある。

そういった視点でも、こういった無責任な活動は適切に対応していただく必要があるし、現状の対応は非常にダメな実例であると思う。

 

また、オープンレターと署名活動を同義に捉えている人もいるが、そもそも全く異なる。

前者は意思を表明したり、特定の事柄について公に回答を求めるものであり、賛同者の数により何かが変わるものではない。

後者は特定の目的にを達する為に、一定の賛同者を集め、その賛同者の数によりその受け手に対して同意を求める行為である。

 

今回のオープンレターの問題点は、前者と後者を混ぜている点にもある。

単純にオープンレターを送るだけであれば、そもそも、数名の発起人、つまり明確に確認が取れている人の名前を連名で記すだけでよく、トラブルともならなかった。

逆に、後者のような具体的な結果や対応を求める事とするのであれば、数名の発起人により署名活動を起こせばよかった。

しかし今回のオープンレターでは、なぜかオープンレターの賛同人を署名活動のそれと同じレベルの手続き(つまり特段の確認はしない手段)によって行った上で、それをオープンレターの具体的な賛同人の一人として個々人の立場を含め、権威付けするために利用した。

 

これは明らかに手続きの悪用であり、典型的なダメな事例だと私は思う。

 

もしも確認の手続きを省くのであれば、せいぜい「なお、この書面に対してはこのほかXX名の賛同者がおられます」程度の記述に留めるべきであり、仮にどうしても権威付けしたいのであれば、その候補者の数名に連絡をとり、賛同者に名前を記載する事について同意を取るべきである。

これは特段の負担もなく、そもそも他人の名前を何かしらに記すという点では最低限の手続きであり、ネットであろうが対面であろうが、何れでも必要な手続きに過ぎない。

逆に、賛同者であるにも関わらず、連絡も取れない、連絡手段もわからない、等というのは流石にマズイ。

例えば何かしらの不手際があり、活動について調整が必要となった場合や、極論活動の停止、取り下げなどの通知も行えないわけであり、流石にそれはない。

 

なので、私はネットであろうが、なかろうが、少なくともただの一署名という扱いでなく、具体的な個人を、特に権威付けの為の発起人や賛同人として記載するのであれば、少なくともそれらについては本人に対して同意をとる行為は必須だと思うし、それを行わなかった本件については、その点は、不手際であり、その行為についての謝罪、特に同意もなしに賛同者として名前を記載されてしまった方に対してお詫びをする事が筋だと思うが。

 

何事であってもそうだが、何かしらの問題や不手際は起こりうるモノだが、そういった時にこそ、個人や集団の価値が問われる時だと考えて対応はして欲しい。