何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

他人を"ライトファン"と罵り自分を中級ファンと評価する人間の見苦しさ

F1に日本人が戻ってきたり、ホンダがレッドブルと組む事でチャンピオンシップへの挑戦権を得たりと、最近はだいぶ日本でもF1に関する話題を目にするようになりました。

 

私も相当の年数モータースポーツ全般を見ている人間です。

 

こういった盛り上がりを見せると出現するのが、謎の初心者を罵る人間だったり、そもそも初心者とさほどの知識の差もないにも関わらず、何故か上から目線で一方的な罵声を浴びせる人々です。

 

Twitter等を見つつ、そういったどうしようもないファンをたまに見つけてはどんな行動をとる人なのだろうかとウォチしているわけです。

 

一部の人は、所謂レースの時だけ熱くなってしまい、レースを終えてしまえば冷静に戻るタイプの人ですが、その一方で、親の敵のように謎の執着を見せて他人を貶めようと必死になる人もいます。

 

最近見かけた方はまた実に面白い論理を振りまく方でした。

例えば、ボッタスのピットレーンでのスピンは何も危なくなくアレを危険だと言っているのはライトファンでいい加減な発言だ、とか、角田の予選でのボッタスへのアタックラップ後のレシングライン走行に於けるペナルティに反論するのただの身内贔屓だとか。まぁ、いろいろ偏った上に相手をライトファンで無知であると罵る割にはレギュレーションを理解していないという根本的な矛盾も見受けられます。

 

まず前者については、そもそもレギュレーション上ファストレーン上での走行は蛇行運転も含め危険と見做される走行は一切禁止です。つまりスピンするというのは蛇行運転以前のレベルであって、危険か否か以前に審議対象です。その上でファストレーンに戻った車両がコントロールを失い、他チームの作業エリア上に制御不能の状態で進入するという行為が危険でないわけがありません。例えばそこにピット作業中の車両があったらどうなっていたのか、仮にピット作業中でなくてもそこにスタッフがいた場合はどうなっていたのか、さらに、仮にスタッフがいなくとももう少しスピードが出ていたらウォールへの接触も発生していたのではないのか等、あれを危険でないというのは明らかに無理筋です。そもそもボッタスはあの時にバックギアを使用しようとしていた操作も見られましたが、ピットレーン上のでバックギアの使用も禁止です。

そういった意味で、あらゆる点において彼のあのスピンには擁護するポイントは皆無で、おそらくそれなりにモータースポーツを見ている人間であれば「まぁ、何らかのペナルティはでるだろうな」と判る話しです。

 

次に後者の件。

あの件は国際映像だけでは分かり難いが、実際には非常に微妙な裁定ではあった。

なお、先に言及しておくと、ペナルティ自体は避けられないもので、FIAドキュメントに記載されているようにチームの落ち度はあるが、ドライバー自身が回避できなければならない事は間違いない。

その上で、まずインラップ中の車両は少なくとも安全性に関わる問題を除きアタックラップ中の車両の妨害を行ってはならない。これは基本的原則として存在する。

で、そもそもアレがややこしいのはボッタスと角田との距離関係で言えば、ロングストレート上ではまだまだ後方におり、角田に追いついたのはまさに角田がコーナーエントリーする瞬間であったという事。

それこそモータースポーツファンなら判る話しだが、マシンをコーナーに対してどのように侵入させるかというのは、セッティングとドライビングスタイルにもよる為、細かくは千差万別である。

その上で、各ドライバーはコーナー侵入前に後方確認をし、その上で相対的に距離が問題ないと判断すればクリッピングポイントやエイペックスを確認しつつ、その速度に応じてコーナーへエントリーする。

なお、F1マシンは速度によりダウンフォース量が異なる為、映像でみると遅く見えるような速度であっても、好きな確度で自由に曲がれるわけではなく、速度に応じたダウンフォース量を見極めた上で、現状のグリップレベルに応じたコーナリングをしなければコーナー入り口や出口でスピンをするという事が発生する。

これは今年多発しているハース車両でのスピンの原因に近い話しで、速度が速いからスピンするわけではなく、発生しているダウンフォース量とその時の速度、そしてそれに必要となるグリップ等のバランスが必要だが、ハース車両もドライバーもその見極めが出来ていないという事と同じだ。

で、角田の例の件で言えば、角田は既にコーナーエントリーを開始しており(国際映像でもボッタスに気づいた時点でハンドルを急激に左に切っており、車両がそれに反応している)、その時点ではボッタスが追いつくとは考えていなかった事が判る。

と言うか、これもモータースポーツファンであれば判ると思うが、現代F1のサイドミラーはえげつない程後方視野が狭い。どれぐらい狭いかと言えば、あれ、本当に役にたってるの?という程狭い。

その上で、ロングストレート上で相手のマシンが今アタックラップであるか、それともインラップであるかは複数ポイントでの相対距離を判断しない限り判らない。

特にロングストレートのような場所ではマシンとの相対距離を測ることはそう単純ではない。

連続コーナーであればコーナー毎に距離を確認できるが、ロングストレートの場合は、そもそも何処かで後方に車両がいない限りストレート上ではそれ程頻繁に後方確認はしない。というか、原則ドライバーは不必要に視界を逸らしてはならないわけで。

インシデントが起きたターン4の位置までの関係とボッタスのトラッカー上の表示を確認すれば判るが、まずターン3時点では角田からボッタスを確認する事はできない。

これはターン3時点ではボッタスがまだ圧倒的に後方にいたことと、そもそもターン3は上り坂からのコーナーであり、非常にテクニカルなコーナである事も相まって余裕を持ってコーナーから圧倒的な後方にいる後続車が「どれどれどの程度近づいてきているだろうか」等とみる余裕はない。

ボッタスが角田に近づいたのはボッタスがターン3を抜け、ちょうどロングストレートの半分に差し掛かるところだろうと想定されるが、その時点では角田はコーナーエントリーへの準備を完了している。

具体的には後続車がきていない想定でレーシングラインからコーナーエントリを行うラインに既に乗っており、その前提で車速の調整を行う状況になっている。

当然、マシン速度の相対差を理解できていればコーナーエントリー自体を辞めるという選択肢があるが、報告書にもあるようにチームはこの時角田への後続車に関する連絡が漏れていた事を認めており、角田がコーナーエントリー時点での相対速度をはかり損ねた結果であることは明らかだが、まぁ、難しい。

さっきも述べたがプロレーサーであっても一瞬他車両を見ただけでは相対速度はわからない。それは当然であって、自分の車両も止まっているわけではないので、少なくとも2回以上のポイントで相手との距離を確認しないと、相手がそもそもアタックラップであるのか、それともインラップであるのかすらわからない。

仮に相手がインラップであれば譲る必要もなく、わざわざタイヤカスを拾う為にレーシングラインを外す必要はない。この話しはフランスGPでハミルトンが同じ話をしており、あの時フェルスタッペンをブロックするためにレーシングラインを意図的に外せばタイヤカスを拾う等してタイヤパフォーマンスを著しく損なう恐れがあったので、そのリスクは侵せないというモノだ。それと角田の判断は同じで、相手がアタックラップであると判断できない限りは無理してレーシングラインを外す必要はない。ボッタスだけでなく角田もまたQ3で競っているライバルなわけで。

単純に角田が誤ったのはアタックラップである事を判断できなかった(それを判断すべきポイントはターン4ではなく、ターン3を抜けた時点/なぜならロングストレート上で譲るにはターン3出口で気付けないと対応できない/理由無くコース上で著しい原則もまたペナルティの対象となるので)事で、あのコースの関係であのタイミング、あの距離関係で気付けなかったというのは多少同情の余地はある。

少なくともモータースポーツファンが、トラッカーやFIAドキュメント等を見て客観的に状況を判断すれば。

その上で彼がライトファンと罵る人の意見が一方的に無知で無理解であるかと問われれば、前述のように、状況を分析すれば、ペナルティが出たのは止むを得ないとしても、その経緯は結構複雑で、同情する余地はあると判断できるわけで、罵るようなものとは思わない。

 

少なくともピットレーン上でのボッタスの行為を危険性はなかったと判断した一方で、角田の行為が問題であると言い放つほどの根拠はおそらく何もない。

 

厳しめのファンであれば「どっちもペナルティが妥当」だろうし、角田のファンであれば角田の行為に同情する程度の事はまま理解はできる、が、少なくともボッタスの件を擁護できるものは何一つないわけで。

 

他にも意味不明な意見は色々ある。

 

例えば、フェルスタッペンの好調なのはエンジンを交換しその恩恵であったわけではないという発言に対して、ホンダファンは裏切られた気分で、喜びを打ち砕かれただろうと発信している。

 

が、謎過ぎて1ミリも理解ができない・・・。

まず、ホンダエンジンに限らず今季はシーズン中のエンジン改良は信頼性の問題を除いて行う事はできない。

その上で、最近論争になっているのは、ホンダはフランスGP目前に交換したエンジンで馬力アップを果たしたのではないかと、メルセデスとハミルトンが度々発言している件で、それをうけての発言だ。

同様の発言はホーナーからも行われており、そんな違反はしていない、あくまでも交換前のモノと同じで、速度差はセッティングの差によるものだと。

この話しは当たり前の話しで、裏切りでもなければただの事実以外のなにものでもない。実際レースのセッティングを比較すれば明らかにメルセデスの方がダウンフォースを稼ぐセッティングをしており、実際その差はタイミングモニタでもわかる程だ。

これについてホンダファンの反応が裏切られたと感じているかと言えばそんな事はない。そもそも今年のエンジンが良い事は判っているが、開幕前からぶっつけ本番でここまで変えて大丈夫なのか?という不安がでる程楽しみと不安がおり混ざったシーズンインだった。実際開幕戦から幾つかのトラブルは発生しており、ホンダファンからすれば「この接戦の中でエンジンを理由に負ける事があると辛い」という不安の方が大きかったと思う。

それがフランスGPでの勝利でパワーセッティングに振った場合でも信頼性に問題がない状態で、且つ、ストレートでデプロイ切れを起こさずにメルセデスとやり合えた、この事をはあらかな事実となり、それが「不正だったのでは?」と疑われる事の方がファン心理とすれば辛いものがあったわけで、むしろフェルスタッペンやホーナーの発言はホンダは何もやましいことはしていないという擁護であるわけで、裏切りも何もそもそもない。

なお、フランスGPでホンダが勝ったのは、どちらかというとデプロイメントのマネジメントであって、その差がメルセデスとのストレートでの差に繋がったというのは、そもそもアゼルバイジャンGPで指摘されていたわけで、実際はハミルトンやメルセデスの指摘は的外れなのは海外メディアでも明らかにされている。

何れにせよ、あの発言にショックを受けるホンダファンが全くいないとはいわないが、少なくとも文脈や状況を見れば、ただの擁護発言に過ぎず、むしろ正当な勝負で勝ったと言ってくれているわけで、嬉しい限りだ。

 

その後もいろいろあるが、決勝が始まると特に酷かった。

例えば実況がノリスを褒めないのは日本人らしさ、という謎の論理を振りかざすが、ここでいう実況はおそらくフジテレビNEXTの事を指すのだろうが、少なくとも日本人はノリスに対して相当好感を持っており、おそらく日本人の中で好きな選手の上位に入る程の人気である上、毎回の如くTwitterでもノリスへの声援や賞賛は非常に多い。

仮にフジテレビNEXTの実況が何か発言したとしてもそれは「日本人」云々ではなく、ただただその実況関係者の意見であって、それ以上でもそれ以下でもない。

なお、私はスポーツ関連の有料放送はモータースポーツ以外も含めほぼ全ての契約を行っており、当然フジテレビNEXTも視聴していた時期はあるが、最近はDAZNのみだ。確かにあの実況陣はちょっと癖があり、私も楽しく見れないと感じたので、録画だけがフジテレビNEXTでリアルタイム視聴はDAZNで見ている。

その為、あの実況陣が何か不快な発言をしたのかもしれないとは思うが、それは日本人だからではなく、ただ彼らがそういった発言をしているだけに過ぎず、日本人が、と言いたいのであれば色々な媒体での様々な意見をちゃんと見て発言すべきだろう。

 

また、決勝でラッセルの後方でレースをしていたときも、角田がペースダウンしたのはタイヤがキツくなったからだろうかと言ってみたするわけだが、実際には角田はそれ程ペースダウンしておらず、むしろ途中からはラッセルの方がペースダウンしており、その後はご存じのとおり突然のピットインという状況になった。

おそらく彼はタイミングモニタも何も見ず、ただただ感情で適当に自分の勝手な思い込みを発信しているだけに過ぎないのだが、その人間が他人を「ライトファンは」云々というべきものなのだろうか?

というか、タイミングモニタやミニセクターのタイム確認、場合によっては会話履歴の確認なんて新規ファンでも結構やっている人は多く、自分でそれが難しい人は、例えばYouTuberの解説を聞くなりして楽しんでいるわけで、雰囲気的にはライトファンと同じか、場合によってはそれ以前のレベルではないかと思うのだが。

 

その後も兎に角情報を見ない感情の赴くままに謎の迷言をTwitterにわざわざハッシュタグを付けて垂れ流し続けるわけだが、全くもって謎過ぎてレースから2日かけて整理したが、ほとんど理解ができなかった。

 

ベッテルが角田に追いついてきたと言ってみたりするが、単純にブルーフラッグの関係で進路を譲る必要があっただけで、当該ラップのタイム以外を見てみれば全く追いつかれた要素はない。なお、ベッテルはそのままずるずると後退しライコネンに抜かれている。そしてベッテル自身もレース後にタイヤ苦しかった・・・と嘆いており、それはラップタイムを見ても明らかに判る。だって、ラップあたり1秒から最大2秒遅いんだもの・・・。

 

 

私は別に個人が誰にどんな意見を持つのも自由だと思う。

迷惑にならない程度であれば好きに暴言も吐けばいいし、迷言を連発するのもかまわない。

が、他人を貶めたり、根拠もない放言を吐きたいのであればわざわざハッシュタグを付けるなと。

ひっそりと自分のアカウントでつぶやけばいいだけで、その範囲であれば、名誉毀損で訴えられない範囲であれば好きにすればよいと思う。

 

モータースポーツに限らず大抵の場合迷惑なのはライトファンではない。

実際にはよく理解できてもいないにも関わらずただただ俺はファン歴が長いという理由だけで新規ファンの邪魔をする古参ファンであって、そういった存在の方が邪魔以外の何物でも無い。

せめてハッシュタグ付きで批判したり誰かに暴言を吐きたいのであれば、少なくとも論理的であったり、情報に基づいた発言をすべきで、それができないのであれば一人で大人しく黙って見ていれば良い。

 

だいたいF1なんてどんどんレギュレーションが変わっているわけで、少なくともテクニカルレギュレーションだけを見ても、既に一昔前のそれとは全く別の競技と言っても良いほどの物だ。

こういったもので自分のファン歴が長いなんて事は他人を批判する理由にはならんし、批判したいならせめてFIAドキュメントからレギュレーションブック、トラッカー、タイミングモニタ、会話履歴等もちゃんと確認して状況を確認出来る程度の知識や経験を持つべきだ。それができもしないのにやれ「ライトファン」は馬鹿だの邪魔だのとお前の方が明らかに謎な発言を垂れ流しすぎて邪魔だとしか言えない。

 

貴方自身の迷言も貴方が批判したフジテレビNEXTの実況同様にただただ偏見に満ちた暴言に過ぎず、他人を不快にしているだけだ。

 

批判したいのであれば、少なくとも同じ批判を自分が受けないようにすべきで、それができないのであればハッシュタグを使って広く自分の意見を発信しようなんて思うな。

 

そんな事を感じた先週末でした。

多分彼は今週末も迷言を垂れ流すと思うので、誰の事が探ってみるのも良いかもしれない。