何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

月数十万稼げるとは思わんが、それでもちょっと偏り過ぎの意見かと

「未経験からフリーランスWebデザイナーで月数十万円」とかアホも休み休み言いましょうね。 - 笑顔を創りたいWebディレクターの日常

うーん。PSDデータを発注主に渡すかどうかは契約によるのでなんともいえないけど。例えばバリエーション含む場合はそもそもその対応ができるデータ納品でその分のコストと手間を双方で削減する事も普通にあるのだが。

うーん。主題である「未経験者がスクールに通っただけで月数十万円も稼げるようになるわけがない」という点に関しては、まぁ、そうね、と思う。

 

一方で、記載されているいろいろな実務経験による話しについて言えば、それは事情や状況によるのでご自身の経験だけで否定をするのはちょっと暴論ではとも思う。

 

というか、PSDデータ一つとってもそんな単純な話しではないかと。

 

例えば色々な設定、つまり秘伝のタレが大量に詰まっているとしても、実際に提供するデータとしてはある程度整理したものを提供する事で、例えば配色の変更やリサイズのみに対応できる程度のデータとして提供できるわけで、その段階でそれが企業秘密と言える程の秘伝のタレと思われるものだとは私は思わない。

 

私の経験で言えば、単純にPSDデータを提供するかどうかは契約によるものだし、そもそも発注時点でそのあたりは明確にするものなので、仮に秘伝のタレが含まれていようが含まれていなかろうが、契約条提供する旨に準ずるものであれば提供して頂くし、それが無ければ提供していただかないし。

私が取引しているデザイナーの方やデザイン事務所では提供しないというケースはほぼ無かったし、最初にある程度の配色の調整をしてあるので、むしろそれ以上の配色はそっちでやってくれると嬉しいな的なやり取りで相手もデータ提供前提で話しを進める事の方が多かった。

 

デザインといっても色々ありますが、例えば名刺のようなものでもPSD形式やAI形式での納品(当然アウトライン化済み)を印刷所から依頼されるケースが当然で、少なくとも画像のみで提供されても困るケースはある。

これは名刺やチラシのようなデータだけでなくWebでも同様で、結局それが必要なのかどうかは契約や状況によるのでなんとも言えない。

つまり、ロゴのようなデータ一つとっても、単純に成果物の画像のみで、とかそういう単純な話しではないかと。

 

「クライアントにPSDを提供してはいけない」と言う意味がわかる会社は単価が高いというのが事実かどうかはわからないが、私のところでの発注は、最近は概ね1サイト250万から400万ぐらいが中心で、LPのような単発ものだと100万を下回る事もあるけど、これが安いのであれば私の付き合っているところがお安いだけなのかもしれない。

一応相手先の実績も確認して、それなりの案件でのデザインから制作まで対応されている方や企業なので、それが安いのであれば、おそらく相手は余程私たちとの取引について優遇してくれているのだろうから、それはそれでありがたいが、その方々との取引でもそのような状況なので「それが当然」と言われるとちょっとそうなのかなと私は思うが。

 

いやいや、アウトライン化したものや、ある程度整理したものはPSDとは言わないとか、そういう話しじゃないだろ、と言われると、それこそそれって話しの前提条件によるので何でもありな話しでフェアな意見とは言えないとしか。

 

見積りの仕方は色々あると思いますが、例えばデザイン内のあるパーツの配色変更だけでのいち作業で数千円とかとる会社は私は見たことがないです。

基本的にはベースのページ単価(デザイン費用ではなく、ページ制作作業の単価)に対して多少の割増程度の作業で部分に対するバリエーションはある程度見込んで貰う事が多いし、逆に例えばバナーのような明確に一つの制作物として見積もるようなものであれば、その見積り条件の中でどのようなバリエーションを見込むのか、どのように変化できる事を期待するのかという点を事前に相談した上で、予め作成していただくバリエーションや追加する場合の対応(自社側で納品物をベースにその後は追加するのか、それとも追加発注で対応するのか等)は取り決める話しで、結構小さい対応が散発的に起きる事が想定されるケースでは、相手方から見積りとっても「無償でいいですよ、画像差し替えているだけですから」という話しもあったりする事も多いので、結構そういったケースも含め単純な差替えはこちらでやる事が多い認識です。

当然、関係性や相手の方・会社の取引の仕方にもよりますが、私の経験上ではそれなりに仕事を持たれているデザイナーの方は、あまりにも小さな単発の作業をたまにもらうような仕事は多少報酬を貰うとしてもメリットも少ないので、そっちで行って貰ってもよいですよ、というスタンスになっているのかなと感じています。

意訳すると、その程度の仕事を単発でなげんなよ・・・こっちは今制作作業が佳境なんだから、その程度は自分でどうにかしろよ・・・という感じかなと。そんな言い方された事はないですが、雰囲気的にはそんな感じ。まぁ、キャンペーンのタイミングとか季節的な対応とか皆にた時期に発注しますしね・・・。

というか、そもそもの発注についてすら他社で仕事を請け負っている時は制作が間に合わないので請け負って頂けませんから、そもそも売れっ子なのかもしれませんが。

 

パーツ専門で作られるような方であればそうでもないのかもしれませんが、ページのデザインから制作まで請け負われる方だと、私たちが相談や発注する場合でも、他社の依頼と並行出来ないケースも多く、そういった意味でも、リプレイスのような保守やページ単位のデザイン修正・変更という発注であればですが、単体素材の色の差替えや単純な配色変更について相談しても、だいたいそんな感じです。

 

私のところでは内部でデザイン専門のスタッフがいないので、単純作業も行って頂きたいとは思っているのですが・・・。

 

それから発注に関する条件を書き連ねれば1万行でも収まらないというのも流石に言い過ぎかと。

 

確かに個人や企業毎に発注や請負に関する条件は様々なで細かい表現の違いまでを1つの条件であるというのであればそれはそうでしょうが、概ね一つの事を指し示す内容について表す条件であればある程度大別化できるかと。

 

実際私も色々な会社と取引しましたが、見積り条件や制作条件について「スミマセン、これどういった意味ですかね」みたいな状況や、極端に他と事情の異なる条項が記載されているようなケースは過去に見たことはありません。

 

というか、そもそも制作に限らず契約・発注とは双方の取り決めによって行われる事で、その取り決めも契約書形式で縛るものもあれば、簡易的に見積り書や発注書の条件により縛るもの等方法は多数有りますし、その中身もツールや形式、バージョンまで指定するものもあれば、そこまで指定していないケースもあったり、工程の単位の指定や基準作業時間の指定があったりなかったり、作業期間や納品方法による取り決めの有無等、それぞれ多少の独自色はありますが、ある程度は予想できる範囲のもので、それらについても結局は相手と調整しつつ詰めるものであると思います。

極端なところだと、作業期間と納品日、納品形式、権利の帰属この取り決めで良いですか?みたいなざっくりしたものも普通にいただきますからね。

となると、結局のところ実務であっても、実際に相手と対峙して相手の事情や条件を伺うまでは何を取り決めるべきはか判りませんし、伺って初めて「さて、どうしたものか」となるのではないかと。

 

つまり企業内の研修やOJT、その後の実務を通じた経験においても結局は同じで、唯一組織に属する場合で違うのは、その条件が組織や集団として雛形となるものがあるのか、それがないのかの違いではないかと。

で、仮にそういった雛形があったとしても、必ずしも自社の条件で取り決めができるわけでもありませんから、結局のところ相手と会話しながらこれ飲めますか、飲めませんかとする事にかわりはなく、それって結局、その人やその組織がどうするかという話しであって、例えばある新人デザイナーが調整が不足した見積りを出したとしても、その人がそれで請け負うのであればそれでいいと私は思いますし、それで仕事が回るならそれでよいのだと思います。

実際私が取引している方々もそんな仰々しい見積り書をだされた事は1度もないですし、場合によっては今の段階では見積もれないので概算だけだして後は予算枠見ながら進めませんか?みたいなご相談をいただく事もあります。そういった場合は、流石にこちらも何もないのはこまるので、最低限の条件だけ取り決めた見積りと発注を行いますが、そういった事も、状況や事情について双方がどう考えるか、どうしたいかという事を話し合って決めるだけの事で、それを行うのに必要な知識はそれ程膨大なものだとは私は思いません。

精々、経験を積む中で、これは明確にしなければならないと思うものが幾つかでてきたり、取引先によってはこの部分は明示的にしなければならないというものがでてきたりする程度で、それが数百行にわたる細かい取り決めがなければ成立しないという程の事もないと思います。

例えば無限リテイクを発動する相手にはリテイクの上限や条件を明示的にしたり。

逆に私だったら、細か過ぎる条件が1,000行とか2,000行とか書かれた見積りをいただいたら、その全てを守る自信がないのでおそらくどれほど素晴らしい相手先であっても、当社の方がそういった方と取引するには値しないレベルの会社としてお詫びして取引を見送る事になるかなと。

 

記事主の方の会社では数百行や1,000行や2,000行といった条項を記述する事は当然なのかもしれませんが、私の界隈だと契約書でもそこまでの規模のもので行う事は稀ですし、基本秘密保持以外は相手方雛形があれば相手方の希望する内容を当社のリーガルでチェックするのが基本の進め方ですが、そういったやり方でも契約書や見積書、見積り条件を頑張って足し込んでもそこまでの大規模なお取引条件を取り決めて行うというのは私が学生時代にアルバイトで個人で請け負っていた頃の仕事から、個人事業主としての仕事、企業に属する中での仕事とふりかえっても、余程の大規模な案件(例えば新しい会社を作ってそのサービスの開発とその後の運営に関する取り決め等)でない限りは、制作に関する発注でその規模の取り決めをした事はないです。

 

ちなみに、その時はそもそも案件自体がレベニューシェア型で進める前提だったので、制作関連の初期費用の負担からその後の運用負担の按分までが事細かに取り決める必要があり、その関係で作業工程の考え方やその作業を行う組織の維持に関する取り決め、稼働に関する条件等も含まれたのでかなり大規模になっただけで、制作そのもののの中身や作業自体に関する取り決めは一般的なものだったと記憶。

出資比率や追加出資の話しまで絡み、その試算についての話しも諸々有るので細かく取り決めたので、このケースの方が恐らくは異例の話しかと。

 

当然私の経験が一般的であるとは思いませんし、私の経験自体も例外的なものなのかもしれませんが、それを差し引いてもちょっとこの部分は過度に着色されている気がします。

 

あと、一人では無理、という話しもありますが、私が最初に独立して個人事業主になったのは、最初の会社に入社(研修という名目で入社式前に上京してお客様先に”違法派遣”されていた)する前に退職し、独立しましたから、ほぼ何も経験がないまま独立したといっても良いと思います。

私は社内での研修等がある立派な会社には入りませんでしたから、最初の仕事は明らかに私のものではない嘘の経歴書に基づいた契約によるもので、そこでも一人でお客様先で仕事をしていました。2つめの仕事は気づくと自分の部下的な人が3人いるという謎の状況でしたが、当然だれも知らないし、むしろお互いお前だれだよ的な状況でした。

その程度の事しか経験が無くとも、私は1年もたたない間に独立して個人事業主となり、その後数年間はそれで無事食べていきました。

契約書の書き方も知りませんし、秘密保持契約のようなものの存在すら認識もなく(そそも当時は珍しかった気がする)、業務に対する適正な単価もあくまでも自分がたまたま検収をいただいたものに関する情報を持っている程度で、それ以上の深い経験や知識があったわけでもありませんが、普通に個人事業主として独立し生きていく事ができました。

当然当時はネットもここまで普及していませんし、ネット経由で仕事を頂く環境もありませんでしたが、それでも無事仕事にありつくことができました。

最終的には縁や運もあってそれこそ数十億円という規模の仕事の責任者もやらせていただけたり、受注した仕事がデカすぎて、個人事業主では直接契約ができない相手との契約を行う為に間に通した会社の社長が「プレッシャーに耐えられない」という謎の理由での契約解除という経験をする程度の成功は収めたのだと思いますが、そういった経験に到るまで、特段だれかに教わって身につけたものがあったわけでもありません。

結局、できる人は見よう見まねでもできるし、なんなら何となくできちゃう人もいるわけです。

昔に比べれば今はネット上で仕事に応募できたり、コンペにも参加出来るなど単価は下がっているとは思いますが、独立するにも起業するにもやる気があればなんとでもなるのではないかとは思います。

 

私はデザイナーではありませんが、これはおそらく全ての仕事で基本的に同じだと思いますよ。

 

できる人もいればできない人もいる。

 

無理かどうかは結局自分が決める事で、無理と言いたくなければ頑張るしかないし、そこを一人では耐えられない、乗り越えられないのであれば、まずは組織に属して経験を積ませて貰う。ただそれだけの事かと思います。

 

まぁ、デザイナーを欺して仕事を安く請け負わせる発注主はごまんといますか、そういった意味ではいろいろな知識や経験がある方が明らかに良いですが、それも結局、経験して学べばよいと自分で割り切れれば、痛い目にあって次は同じ失敗をしなければ良いのだと思います。

 

私も最初に行った学生時代のプログラムの仕事は個人事業主の方から全額の報酬は頂けず、今だったら確実に訴えただろうなと思うレベルの扱いでしたが、それがよい経験になって、兎に角法律は学ばないとダメだと学び、今の自分の礎ができたのだと思えますからね。

 

長くなりましたが、結局、それを否定する経験も、肯定する経験も、ぜんぶそれぞれの事情や状況によるので、まぁ、未経験者が皆月に数十万も稼げるわけがないとは思いますが、とは言え、それは結局、市場に出回る仕事の絶対数が単純にそれを求める人よりも明らかにすくない(求める側のスキルレベルまで考慮すれば)為、結果として期待するだけの報酬を得る事は難しいだろうね、という部分の説明のみで良いのではないかと思いますが。

 

主観が過ぎると助言や意見というよりは、年長者や経験者が自分の武勇伝を元にしていびっているように見えてしまうので、そこはちょっと配慮した方がよいのかなと思いますが。