何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

『#すき家ストライキ』について(後編)

「すき家ストライキ」騒動の真相は? 千葉の労組「店舗ではなく工場で一人が決行」 (弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース

店員側のワンオペの話でもなく工場サイドとは。ストの理由や発起人はだれでもいいとおもうが、要求内容が実態とちぐはぐすぎじゃないのか?これはいったい何を考えて行動したんだよ。うーん正直想像よりも酷いなこれ

 

よんだ。

 

結局のところ、すき家ストライキとはなんだったのだろうか。

 

ストの発起人がだれであるかというのはさほどの問題ではないと思うが、その一方で、要求内容が行動者の実態が一致しないというのはストの精神から言って非常に微妙。

 

ちば合同労組の要求事項として掲げられていた内容は4点で、“①店舗の要員を増やし、ワンオペを廃止する”、“②5月29日のストライキ(すべての形態)参加者を処分しない”、“③店舗閉鎖や減産などに伴う従業員の不利益をすべて補填する”、“④アルバイト・パートの時給を一律1500円に”。

 

もともと気になっていたのは③と④の要求内容。

 

今回もともと騒がれていたのは、契約形態の歪さの部分であって、①のワンオペ問題の要求は非常にストンと落ちるものがある。②についても当然そうだろう。

 

その一方で、③の問題は一般の店舗スタッフを想定すると意味が分からない。

 

すき家に係らず、ファストフード店の改装や移転等を見るとわかるが、ヘルプであったり一時的な勤務先変更は普通に行われる。これは、店舗数が多い事や、オペレーションが比較的マニュアル化されている等の利点を生かしている。

その上、すき家は現状一般的な情報では人員不足なわけで、パワーアップ改装を早く終わらせる意味でも、店舗の統廃合を行う事は普通にありうるし、その結果、アルバイトスタッフが強制的に契約解除を行われるケースは無くはないだろうが、どちらかというと少ない事が想定される。

(というか、そんなに人余りだったらこんな問題にはなっていないだろうし)

 

というか、“減産”という文字の時点で、お察しではあったのだが、結果だけ見るとそういう事ですかと言わざる得ない。

 

④の問題も気になった。もともと1350円前後でも募集に応募がないという話が出ていたが、それを1500円にすれば問題が解決するのかという点。

そもそも、今回のストは①の要求にあるワンオペ問題が発端であると考えるのが筋で、現状でも給与は業界では高い方なのに、さらに高くする、ちなみに近場の吉野家で約900円だったので、現状でも1.5倍なのに、それをさらに引き上げろというのが要求となる。

ワンオペは呑み込むから、高い時給をさらにげろはわかるが、ワンオペ廃止して同業他社と同じようにちゃんとしろと言いながら、給与は同業他社よりも圧倒的に高い水準をさらに引き上げろと…。

 

ちなみに、200円前後時給を上げるという事は、月間で約2億円前後の利益が吹っ飛ぶという事。もろもろ含めると年間で30億円ちがいコストが増加するわけで、利益が50億円程度しかないゼンショーグループ全体の利益の大半を吹っ飛ばすわけで、それも、現状は足を引っ張りつつあるすき家セグメントの為に…というのは正直選択肢にはないと思うんだが。

たかが200円と思うだろうが、社員の数倍の人数がいるパートアルバイトの時給を上げるというのはそれだけのインパクトがあるという事を理解すべき。

(実際は、もっと上昇幅がありそうなので、赤字転落もありうる)

 

さらに気になったのは“時給1000円にも満たない労働者をこき使って”の行。

 

前述のとおり、すべての店舗でないにせよ、比較的時給で考えるとすき家は高い。にも拘わらず、必死に時給の部分を指摘している。その一方で、ワンオペについての具体的な問題点の言及はなかった。

 

ネット上では、この行動は工場勤務者が店舗スタッフの事を想って行動を起こしたと英雄視する人もいるが、それであれば、③及び④の要求は不当でしかない。

今回の最大の問題はワンオペ問題であり、もっと言えば、店長クラスの業務委託契約という問題であって、それ以上でもそれ以下でもない。

 

④の違和感の原因は単純な話で、工場勤務者の給与水準が低い問題、おそらく、店舗のアルバイトスタッフよりも低いのだろうと思われる。それを今回のすき家ストにぶつけて便乗で交渉しようとしたので、結果としての要求事項が、現実の課題とかい離して冷静に見ると違和感を覚える要求事項になってしまったのだろう。

 

また、③の店舗の廃止に係る問題についても同様で、店舗スタッフの影響が限定的なのに対して工場側は結構深刻であることが想像される。

なぜなら、店舗数の減少は、工場スタッフのシフトに影響するわけで、時給が上がる云々の前に、契約自体が解除される可能性が高くなるからだ。

 

こう考えると、今回の一件がいったい何であったかはすっきりとする。

 

もっとも、工場勤務者だろうが店舗スタッフだろうが、自信の要求を交渉する事そのものは悪い事ではないのでそれはそれでよいが、気持ち悪いのは、自分たちの要求は自分たちの名前で行うべきという事。

工場勤務者の劣悪な環境を改善したいならそれはそれを全面に押し出し、店舗スタップの問題と混ぜるのではなく、それぞれがそれぞれの問題を整理し、団体交渉のテーブルにつけばよいだけのこと。

それを、表向きは店舗スタッフの行動をあおる形に持っていき、交渉内容そのものは別な思惑があるようなものとするのはストの精神から外れている気がする。

 

既にゼンショーは分社化を行う方針を明言しており、その影響で生産ラインの統廃合も行われる可能性が高い。その辺を考えての行動ともとれるが、それであれば、それはやはりその問題として行動すべきだし、ワンオペ問題や店舗の人材不足問題を交渉材料にしてまぎれて話をすべき問題ではないと思う。

 

結局、①のワンオペ問題をネタにして、③と④の自身の要求をのませるための行動と世間に取られかねない状況なのだが、この提案を提示する前にちゃんと周囲の人間は話を聞いたのだろうか。

本人の為にもならないし、この結果が、本当に現場を改善する為に行動を起こそうとしている人の足を引っ張りかねない状況なのだが、それを理解しているのだろうか。

 

もうやってしまった事は取り消せないので、事実を事実として受けれいるしかないが、少なくとも今回の一件でゼンショーサイドが失ったものは何もなかったように思える。

 

せめてゼンショー本社前に数百人のスタッフが座り込みをしたぐらいの行動になっていれば、仮に発起人がだれであろうが、思惑がどこにあろうが、全然結果は違っていた(メディアの取り扱いも含め)と思われるが、結果だけ見ると、いろいろな意味で裏目った結果になったように感じてならない。

 

想像していたものの中で、正しく言えば、想像する事ができないぐらい残念な結果だった。