ブログ: Appleは本当にあなたが実行するアプリをログに記録しているのか?
事の本質はプライバシーの問題ではなく、macOSの環境は既にローカルか否かという議論ではなく、全てがAppleの管理下にあるという事。言い換えれば実質自由的には既にスマホと同じなのでそれを許容するかどうかという事
この問題は別の話でも言及していますが、既に数年前から開始されているmacOS上ではAppleが許可したアプリしか動作しないという事が強化されている現状にあります。
確かに一部の方が言われているように「安全なんだからいいだろ?」という考え方を全て否定するわけではありません。
が、私は基本的に購入した機器は原則として購入者に最大の権利があり、極論言えば、リスクも含め購入者が責任を持つ場合は、そのリスクの選択も含めた行動を購入者の意思で選択できるべき、と、私はそう考えています。
Windowsは確かに問題がありましたが、この部分については一切干渉しませんでした。
極論言えば、怪しげなコンパイラでコンパイルされたアプリでさえ挙動の制限を受ける事はありません。
唯一は管理者権限での挙動を許可するか否か(なお、厳密には様々な方法で許可したあアプリ以外を起動させない方法もあります)のみであり、責任は選択する購入者・利用者自身に委ねられていました。
この基本的な考え方、権利について受け入れるかどうかという話です。
私は、安全・危険という判断も含め、権利を放棄するというのは正しいとは考えていません。
ですから、例えば電子書籍が紙媒体と同じ価格で提供されるのであれば、その価値は明らかに購入価格と見合わないと考えています。
厳密には、電子書籍と紙媒体の書籍ではかかるコストが異なるため、同一の原価という話ではありません。
が、入手するものの価値が書籍から得られる体験や知識と考えた場合、その権利が一時的な利用権であるか、それとも永続的に所有する権利であるかという事は大きな差になります。
これと同様で、私はパソコンや開発環境というのは、メリットもデメリットも購入者の判断に基本的には委ねるべきで、プラットフォームが過剰な制限をすべきとは考えていません。
実際、Windowsアプリの開発維持と比較して、macOSでのアプリ開発と提供は異常にコストがかかります。
特に最近ではOSバージョンが変更される都度、権限や対応すべき内容の追加が多く、以前も言及したように、よほどメジャーなソフトでない限り、ここ数回のOSアップデートで壊滅的に提供本数が減っている(あくまでも私が利用していたソフトですが)と感じます。
ただでさえライセンス料含め気軽にチャレンジできるわけでもない上、OS更新の都度対応負担は増え、その上、アプリの提供に関するルールはどんどん増える。
その一方で、利用者側は自身が購入した機器であるにも関わらず、自由は使い方がどんどんできなくなり、Appleというプラットフォーマーが定義した利用方法や正しいとしたあり方以外は認めないという仕組みにどんどん進んでいます。
もっとも、その目的がiOSとの統合に向けた為である事は既に数年前から指摘されており、実際どんどんその方向に進んでいるわけですが。
それ自体が悪いことだとは思いませんが、本当にその先にmacOSの未来があるのかと問われると私は、ないのではないか、本当に高度な利用者を排除して、コンシューマー向け、スマホのようなライトユーザー向けの環境、つまり皆同様使い方、利用方法を求められるあり方になる事を望んでいるのかと考えると、それは既にマイクロソフトが昔に行った管理方法であったわけで、今更それを「偉大なるAppleの管理であれば安全・安心だから受け入れよう」とは私はならないですが。
今の時点で完全な制限が課されているわけではありません。
が、既に段階的な制限はどんどん強化されており、恐らくはBigSurの普及、iOSとのより密接な関係性を築くにつれスマホ同様の環境、つまりAppleの許可したアプリ以外は確実に動かず、その許可とは、AppleStoreでも問題になっていますが、Appleの匙加減一つで決まるという事です。
私はプライバシーがプラットフォーマーにある程度共有されること自体にはそれほど脅威を感じません。
gmail然り、Windows10然り、iOS然り、Android然り、今の時代一定の情報を必要とするのは当然で、その情報がどのような形で、どこまで共有されるのか、精々その程度が議論すべき領域です。
逆にAppleが進めているAppleが完全に管理、極端な言い方をすればAppleが完全に支配する管理を業務環境とするのは本当に安全なのか、開発環境としても今後数年を見た場合、本当に他の開発者達はこの環境を是として今後も使うのか?使わない可能性があれば、今ですらツールやアプリは非常に少なく、場合によってはWindows環境を併存させなければならないにも関わらず、今後より環境が悪化した時、本当にこの百万円ちかい開発環境を購入すべきなのか、そういった疑問が生じないかと問われれば嘘になりますし、正直それを受け入れる気はありません。
恐らくこれから3年以内ぐらいにはWindowsへ開発のメインは切り替え、macOS側はiOS開発専用という状況に切り替える予定です。厳密にはBigSurの出来や周囲の開発者や使っている開発ツールのデベロッパー達の環境がどのようになるのか、そういった事も含め判断することになるでしょう。
正直、この問題はプライバシーの話ではなく、権利の話だと私は思いますが。