何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

8七金なんて世界線はなかった

いや、本当に驚いた。

まさかの▲8九金。

 

確かに▲8七金、△3七角の流れは多少読み筋として難解な部分はあったとは思うが、正直プロが避ける程のものはなかったと思う。

 

敗着とまでは言わないが、大きく流れを左右したことは事実かと思う。

 

というのも、▲8七金を指さなかった影響はその後の流れでも色濃く、先手陣に確実な足がかりが築かれ、飛車を含め完全に相手が制圧してしまった。

本来であれば、▲8七金からその後の流れも含め、流れ次第では相手の飛車まで殺す事が可能であったところを、飛車が残っただけでなく、その飛車が攻防に利くという一番厳し状況にまで悪化した。

且つ、一番致命的だったのが、△3七角が狙っている△6四角成りという筋について全く守るすべがなくなった点。

先手陣左は完全にコマ不足で守れない状態で、そこをいかに守るかというのが課題だった。

その為、▲8七金を含め相手の飛車や角に対して守りを固める、というか飛車と角を如何に切らせるかという話でもあったように思う。

 

で▲8九金ではその攻めに対してほぼ手だてがない。

△8六桂の存在も、△8七歩の存在もきびしく、その上その部分が力を持っていると△6四角成り後の馬が攻めにも守りにも効いてきて致命的になる。

実際、後の76手目に△7八銀打ちのあたりで既に先手は守る術がなくなっている。

どう凌いでも△5四馬が絡む攻めに抑え込まれる状況となってしまい、本局でもその通りとなってしまった。

 

評価値だけを見れば、実際には▲8九金の時点ではそれほど戦局に影響を及ぼしたようには見えないように思えるが、実際には馬の威力が強すぎる事で、その後の先手の攻めも守りも全てが厳しい状況に追い込まれたのが本局の全てかなとは思いました。

 

△3七角から組み立てる事になるのはほぼ確実な流れでしたから、本来であれば先手の方が読みやすい状況であったとは思いますが、この部分の構想力というか、読みの力の差がでてしまったのかなと。

 

もっとも、仮に▲8七金であったとしても、そもそも結果が覆ったのかと問われればそうとも言えないのが将棋なのですが、ちょっと勿体ないなと感じました。