何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

アメリカの大統領戦は対岸の火事ではない

なんというか、大統領戦が前回同様思いの他面白い事になっており、今の所バイデン氏有利なものの、まだわからないというお粗末な状態。

 

アリゾナ州が未確定という情報もあり、万が一アリゾナ州が覆ると仮にネバダ州でバイデン氏が逃げ切っても過半数には届かないという恐ろしい状況。

 

さて、トランプ氏と言えば一見すると「老害」というイメージしかないように見えますが、選挙戦略含めなにげに緻密に計算されています。

 

別投稿でそもそもアメリカの分断自体はトランプ氏の罪と言うよりは、実はオバマ政権時代の負債であり、トランプ氏はそれを選挙に利用しただけという話しをしましたが、実際それは今回もかなり効果的に利用されています。

 

正直トランプ氏相手にバイデン氏というのは余りにも厳しい戦いで、新型コロナウイルス問題やBLM運用があったからまだ接戦ですが、これが無ければ戦いにすらなっていないというのが実情です。

 

また、冷静に考えても、何れの問題も特段今起きた問題なのか、つまりトランプ氏だから状況が悪化しているのかと考えると、トランプ氏が特別抑制に動いているわけではないという事実はあるものの、一方で、そもそも黒人迫害はアメリカの歴史そのもので、バイデン氏支持派である属性であっても無縁ではなく、唯一の例外は黒人その人だけであり、それ以外はそもそもその屍を今まで何十年と放置してきたわけです。

 

オバマ大統領という黒人初の大統領が既に誕生していたわけですがね。

 

冷静に考えて、なぜ彼が、つまりトランプ氏が再選の可能性すらあるのか/あったのかという事は、日本にも当てはまる話しであり、ここも冷静に考える必要があります。

 

基本的に人間は理想と現実を普通はわけて考える事ができます。

その上で、現実的な行動を採るとき、イメージできない事に対して選択するというのは非常に限定的で、通常はイメージできる具体的なものの方が優先的に選択される可能性が高いです。

また、アメリカという国の一番の問題は、口で言っている程皆が平等な世界を求めていないという現実があります。

前回の選挙時にトランプ氏を支持する人が何故いるのかという話しの中で、アメリカでは差別=黒人問題として非常に偏った捉え方をする事が多いですが、実際にはアジア人を含め移民等もっと多くの差別が存在します。

また、貧困を語る時に都市部の格差の議論も大きくなされますが、アメリカの実際の貧困は内需が弱りつつあり、昔からの製造業や農業、畜産業等、これまでアメリカを支えてきた事業、その事業に関わる人が徐々に貧困化しているという事情もあります。

 

例えば、ウィスコンシン州の投票行動等はわかりやすく、同州の中でも比較的都市部はバイデン氏に、そうでないところはトランプ氏に投票しており、これがアメリカの抱える問題です。

 

都市部の人が考える平等や公平性、一番の問題と、それ以外の人が考えるそれは実は一致しておらず、それがアメリカの抱える分断の大きな原因です。

勘違いしている人は「差別をする人とそれを止める人の分断」であったり、「独裁を認めるのか認めないのかという分断」のような、間違った考え方をしていますが、もともとの分断はオバマ政権時代の福祉政策を始めとする「公平性」の定義の揺らぎからそこからこぼれ落ちた人やこぼれ落ちそうな人達が不平不満を持ち「昔のような未来のあるアメリカに戻りたい(という願望)」を望む中で、それを巧みに利用したトランプ氏が大統領になたっというだけの話しで、トランプ氏自身が分断を作り出したり、分断する為の政策を意図的に採っているわけではありません。

もっとも分断を収束させるような政策もとっていないのは事実で、それが分断を助長しているという指摘は確かですが。

 

ただ、この問題は本当に深刻で、おそらくこの分断を収める術をバイデン氏は持ち合わせておらず、選挙期間中も一切その事には触れていないという事もあり、仮に本当にこの部分に無策であると自供は悪化する懸念すらあります。

今までは政府やトランプ氏という明確な標的があったのでその運動自体は、善悪のような形で明確な色分けができました。

しかし、政権がかわる事により、良い点で言えば、そういった活動を政府自体も支援するようになり、加速度的に黒人に対する差別行動は抑制されるようになる事が予想されます。

ですが、そもそもの分断の原因は黒人差別ではなく、黒人差別のみが特別視されており、それ以外の人種については多くのメディアで語られる事もない実情というものであったり、移民受入の是非は論じられるがそもそも内需を復興させる具体的なプランや行動が起きていないという事が問題であり、その部分に抜本的な対策が講じられなければ、そういった事にストレスを抱える人は、より一層疎外感を強め、これから4年間により大きな反動が生まれる可能性すらあります。

実際それが、前回の大統領戦で起きたトランプ大統領誕生という番狂わせを起こしたわけであり、少なくともバイデン氏はそれを再現させない具体的なプランが必要なわけです。

 

この現象は実は日本でも同じで、自民党民主党という対決において2009年に政権交代が起きたわけですが、この時の民主党系(連立与党であった為)の得票数は非常に多く、どれだけ民主党に期待が高かったのかという事がうかがえます。

 

この時の民主党政権運営の是非は人により評価が分かれますが、私から見ると「具体的でより生活を向上させると感じるものが少なくとも国民に伝わらなかった」というのが崩壊の原因で、それが今も尚尾を引いていると感じます。

 

例えば、ダム建設の是非等の議論はその直接的な影響を受ける人からすると主要なトピックスになりますが、それ以外の地域の人からすると「そうですか」という程度のものでしかありません。

同様に「予算の見直し」というのは大事な事であるものの、見直す事自体が主だったアクションとして取り上げられてしまい(これはメディアにも責任がある)、執行に於ける具体的な効果の部分がさっぱり伝わってこない(実際にはマニフェストで述べた事を実現する為の資金を捻出していた/しかしそれ自体は加点にはならない)という事や、そもそも絞る事や制限するという行動自体が伸びるイメージや成長するイメージに直結せず、生活の向上や豊かさというイメージを生み出せなかった事も単純にマイナスだったように思います。

 

結果として、その後非常に単純な「経済」という視点で一点突破を図り自民党復権するわけで、これ自体はオバマ政権(と、民主党を同一視すると笑われる気もしますが)を経てトランプ大統領が誕生したという経緯と私は非常に似ていると感じています。

 

そう考えると、大事な事は、ここで仮にバイデン氏が大統領になったとして、彼の行動やその後のアメリカの変化というのはある意味今後の日本の政権のあり方、イメージの持ち方にも大きく影響するのではないかと考えています。

 

単純に考えれば、バイデン氏が具体的で効果的な施策を用い、分断を解消できれば良いイメージが生まれますし、やはり融和や公平という視点で団結すべきだという一つの事例にもなります。一方で、ここでもやはりオバマ政権時代同様に結果的に分断をより深める結果となれば、理想と現実は違うという事がより明らかになり、公平という理想を追ってもそれは実現出来ず、むしろより国民の中で分断が悪化するようなイメージが定着する事になります。

そしてそれは、次の日本の選挙でも同様で、安倍政権、管政権はこうであった、ああであったと論じる事は大事ですが、もっと大事な事は仮にその先に政権交代があると仮定して、それは何を実現するのか、どう実現するのかという点が非常に重要で「じゃない方を選択した」というのは選択行動としては有効であはあるものの、評価行動としては行われない、つまり、選択後にはそのバイアスは有効ではなく、むしろ減点方式での採点に移るわけで、そういった行動による勝利は不利に働く可能性すらあるというのが現実です。

 

ですから、こういった政権交代が生まれる時、特に「消極的選択」が行われた場合、それは見た目上は「流れがきている」と思いがちかもしれませんが、実際には「具体的な支持はない状況で政権運営をせざるを得ない」というむしろ大きなハードルであると考え臨まなければならないという事です。

 

日本での政権交代が次はいつ起きるのかはわかりませんが、仮にそれが起きたとしても、その時に何をすべきか、どのような点から取りかかるべきか、そういった具体的なプランが見えていないと、その先に待っているのは再度の政権交代であり、その時はより先鋭化した未来しかないという点はオバマ政権からトランプ政権の流れで理解すべき歴史の大事なポイントであると感じます。

 

もっとも、それ以前にトランプ氏が且つという未来もまだ完全に否定はされていませんから「理想を語る所にすらたどり着けない」という未来もありえますが。