何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

恐らく女性向け18禁コーナーは実店舗では機能しないかと

星崎レオ on Twitter: "@ecoyuri @konotarogomame 今月、私のコミックスが都の不健全図書に指定されました。 私はかつてから不健全図書についての知識はあり、器具の使用や人格否定などの表現にも十分注意し、編集さんとの調整の末発行したものになります。"

いや、そういった未来が来るよと何度も警笛は鳴らしてきたけども、いつも表現の自由戦士が云々とか、常識を欠いた人間だけが反対するとか、結局は規制をする事を受け入れる社会になってしまったわけで。今更もう遅い

 

私はゾーニングは必要であると思う一方で、過度にゾーニングを進めるという事は、最終的には全ての人がそれぞれ不快と思うものを排除しあう世の中になる、いわゆる監視・管理社会になってしまうわけで、あくまでも最小限、特に運用面で回避されているのであれば、過度に干渉すべきではないというスタンスです。

 

で、実際問題、昔から女性向けの18禁書籍というのは扱いが難しく、私の妻も腐女子なので、一緒に探したりする時に女性向け書籍コーナーを見て思いましたが、一般書籍とBL本、BL本以外でも明らかに性的なイメージの強いもの、そしてR15というか、いわゆる少年・少女系では積極的に取り扱えない程度のもの、そういったものが、一応売り場上では混在しないようにされているものの、男性向けとは違い、分けることなく同じ売り場に陳列されているという状況は理解していました。

 

逆に、あれって、あの状況だからこそ裾野が広がった分野ではないかとも思う。

 

というか、男性だって誰もが18禁コーナーに入り浸れるわけでもないし、気にしない人もいれば、やはり入る事も、滞在する事も、何かしらの負担を感じる人もいるわけで。

 

で、現時点で女性向けのそういったコーナーがないわけではないけど、そのような存在を理解している女性も少ないし、どこにあるのかもしれない人の方が多いと思う。それ以前に明らかに女性がそういったコーナーに足を向ける事には抵抗があるとは思う。

実際、私の妻も、売り場での扱いが縮小した時期から実店舗にはいかなくなった上、雑誌も買わなくなった。

今では一部のものを電子書籍で買っているようだが、むしろ一般書籍の方を読むようになり、明らかに昔よりもその手の書籍を買わなくなった。

 

もっとも我が家では、私も女性向け漫画を一部読んでいるので、夫婦の間で「あれ読んでる?」的な話題が増え(私はBLを読まないので、一般誌が増えた事で共通のものが増えた)、夫婦間のコミュニケーションが増えたことは良いことではあるが。

 

まぁそれはさておき。

結局、単純に触れる機会が減る事で、そういった情報が周りからの発信も減り、結果として余程気に入った先生の新刊でもない限り情報も追わないし、買ったりすることもなくなっているわけで、恐らくはそういった人は多いのだと感じる。

 

で、当然そんなことなわけで、少なくとも実店舗で女性向けの18禁コーナーを作ったところで、それ程の売上が見込めるわけでもないので、店側としても積極的に取り扱う事はないだろうし、仮に作るとしても、動線やプライバシーの配慮の仕方も含め、小さい店舗では現実的に難しいので、結局は本当に限られた店舗でしか対応できないだろうなと。

 

で、電子書籍で売ればよいではないかというが、電子書籍で売るにも、少年誌と比較して市場がそれ程大きいわけでもないので、現実的にはかなり難しいかと。

つまり、出版社側がわざわざそこに担当をつけたりして支援していくかというと、単行本化できない電子書籍専用となる時点で、恐らく無料漫画アプリの連載デビューの延長線上でしか対応しないので、プロとして続けることができるかと言えばかなり難しい気もする。

 

正直な話、電子書籍が伸びているのは、無名の作品が売れているわけではなく、有名な作品を読む方法として電子書籍という方法をとる人が増えたわけで、無名な人にチャンスがいくらでもあるわけでもない。

 

その上、前述のとおり、女性向けというのは、明らかに男性向けよりも市場が小さいので、男性向け以上にハードルは高い。

 

私個人は、少なくとも女性同士の中で折り合いがついているのであれば、別にBL本をそういった扱いにする事はなかったのではないかと思っているし、思っていた。

男性向けのそれを女性が見てしまうという話と、女性向けのそれを女性が見るという事の違いはあるわけで、今まで折り合いがついていたのであれば、そもそも売り場の規模も全く違う女性向け書籍の状況をこれ以上悪化させる必要もないのでは、と。

 

というか、結構この話は今後も影響すると思っており、正直BL本がダメだったら、ananとかの表紙も規制の対象になる日は来るだろうし、女性向け雑誌や週刊誌の特集なんて、現実問題、BL本と同じか、モノによってはそれ以上に生々しいものもあるわけで。

 

で、当然ですが、あれがダメならこれもダメでしょ、となるわけで、この手のものは規制が規制を呼び、どんどん状況は悪化する。

 

だから僕は、運用面で折り合いがつくなら、できるだけ規制という手段で管理するべきではないし、特に市場が小さいものや、影響を受けやすいものに対してはもう少しちゃんとした対応が必要だったと思う。

 

男性向けというのは、やはり、いままで社会が男性中心で回っていただけあって、規制が入ってもまだ対応のすべは多い。

単純にそれぞれある程度の市場規模があるし、需要がある。

極論言えば、例えばエロ一つとっても、今きれいごとだけを並べている人が、神や仏のように、一切の煩悩を切り離し、一切のその手のものと接していないかと言えば、当然そんな事はない。

少なくとも人生の中で、何かしら接点はあるし、表に出さないだけで、日々かかわっている人も多いわけで、それが結果として、仮に何かしらの規制や影響を受けたとしても、それを商売として残すすべを探す原動力にもなるし、結果としてそれが消費者にも伝わるわけで、形や手段は変われど、何かしらの形で残す事ができる。

男性向けというのはそういった意味では、歴史というか、規模というか、そういったもので守りやすくあり、だからこそ、まだ、一定の規制が入ったとしても何とか残す事ができる。

 

が、当然、規制を導入するという事は、男性だけに行うという都合のよい事はできない。それこそ差別にあたるので、純粋に同一の尺度で規制対象は判断されるわけで、結果として男性向けに対して何かしらの規制や批評を行うという事は、同じだけ、女性向けの市場や文化にも影響を及ぼすわけで。

 

この事は、今回に限らず何度も言い尽くされてきたけど、規制すべきという人からすれば「共に滅びろ」と考えているのだろうが、正直、将来の結果だけを見れば「規模の小さい女性向けの文化だけが滅びる」という結末しかないわけで。

 

確かに、同人誌として出版したり、今後も細々とやっていくことはできるが、恐らくは数年も経てばその手のプロの漫画家という職業は絶滅するのではないかと。

男性向けでもそれ一本でやれる人は少なく、なんとか雑誌への短編の掲載や、いくつかの仕事を兼任して生き残っている人が多いわけで、それが女性向けとなると、そういった市場すらほとんどないわけだから、作品が減れば市場が萎む、市場が萎めば支援が減る、市場や支援が減れば出版数が減る、なのでさらに市場が萎むの繰り返しで、まぁ、数年のうちにプロとしての生活できる漫画家はいなくなるのではないかなと思う。

 

この事で理解してほしいのは、男性の文化だけを締め付ける都合のよい法律や条例は作れないという事。何かを規制するときは、男性向けも女性向けもなく、単純に規制するのか、しないのか、それしか議論の余地はないという事を忘れないでほしい。

 

今後もいろいろな事や表現、流通が規制されると思うが、その都度、本当に規制しないといけないのか、その規制の先に、どのような影響があるのか、そういった事も考えて賛同すべきか、そうでないのか、そういった事を考えてほしいと思う。

 

もうこの話は前に進めてしまったことで、今更なかったことにはならないが、今が一番厳しい時期というわけでもない。

当然、今後もさらに様々な規制を求め、それこそ「不快なものが目に入る事も許さない」という極端な意見もでてきているわけで、そうなれば、最早電子書籍やネットという環境も実店舗同様に、それらと同じ結果を招くという事も併せて理解しておいてほしいと思う。

 

なんというか、規制を積極的に進めた人達は、この先にまだまだいろいろなものが消えていくという事にどの程度真剣に向き合っているのかと思うと、残念でならない。