何気ない記録

なんとなく自分の意見を書き記すときにつかいます。つまり不定期更新です。

おそらくは「法定相続情報一覧図」では解決しないと思うのだが

石武丈嗣(10月ついに会社清算完了!あとは税金払うのみじゃー!しかし赤字1000万越え!) on Twitter: "意外に知られていなかったので徒然。 親などが亡くなったら 法務局で「法定相続情報一覧図」を作ったら 戸籍とか基本いりません。 これ1枚で銀行口座解約、不動産登記手続き、 各種役所・年金の手続き、自動車引き取り など戸籍代わりに… https://t.co/B6kxloMpnY"

便利そうではあるが、本当にそうなのか疑問。法定相続人が複数いる場合、金融機関は相続人が特定されない限りは資産の移動を認めないと思う。なので結局は遺産分割協議書による相続人の特定が必要になると思うのだが

予め述べて於きますが、私はこの書類を使っての相続手続きを行っていないので「と、思うのだけど」という程度の話しです。

 

まず、金融機関での手続きでいえば、法定相続人が複数いる時点で、当該資産の相続者が特定されない限り資産の移動は認めないと思います。

 

というのも、お金に色はありませんし、遺産分割協議により法定相続分による分割が行われるとも限らないわけで、結局金融機関側から見ると、当該人物が相続対象者かどうかは情報開示(当該ツィートのスレッドにもありますが)程度しか対応せず、それ以降の対応(解約手続きや資金移動等)については、当該資産の相続人であるだけでは不十分で、その資産の継承者であるかどうかの特定が必要になるのではないかと。

実際、法務省にも全ての機関で対応しているわけではない事や、機関に応じて他の書類も必要になる事について注意が記載されています。

 

なお、遺産分割協議書が既に作成済みの場合、各種写し(遺産分割協議書はコピーでOK/印鑑証明の添付や謄本の写しの提出は金融機関によりけり)で対応できるので、そもそも必ずしも戸籍謄本の提出が必要なわけでもないかと。

本来は精々遺産分割協議書記載の資産継承者の本人である事を証明する書類のみでよいのかと。

なお、提出した戸籍謄本は通常は返却してもらえるので、実は「法定相続情報一覧図」を作成するのも、遺産分割協議書を作成するのもコストも基本かわりません。

 

で、仮に冒頭の書類「法定相続情報一覧図」がある程度の効力を持つとしても、その相続人のうち誰が、何を、どの程度継承するのかが記載されていない事や、そもそも申請者が確かに記載の本人である事の証明はいると思うので、別途添付書類の提示が必要になるのではないかと。

 

というか「法定相続情報一覧図」と遺産分割協議書の目的は異なるので、法定相続人が複数いる時点で「法定相続情報一覧図」で解決できる事は、ごく一部に過ぎないのでは?

 

なので、「法定相続情報一覧図」の役割としては、遺産分割協議を行う上で必要となる相続人の特定作業の『一部』を進めやすくしているという事であって、それ以上でもそれ以下でもないのではないのかと。

 

ちなみに、発信者も誤解しているようですが、遺産相続手続きで一番大変なのは、確かに相続人の特定ですが、その最大のハードルは抄本/謄本の取得です。

恐らく今相続に直面する世代が一番大変で、全ての事項が記載されている必要があるので、ものにより複数の自治体に問い合わせて書類の発行が必要になります。この手続きが面倒で、所定の書面を自治体に提出して、写しを入手、で、内容を確認し不足している記録がないか確認し、不足している場合はさらにたどり別な自治体に申請をだすという事になります。

こういった問題も電子化でだいぶ改善されていると思うのですが、まだ私たちの親世代(恐らく70代以上)の記録は結構大変で、この情報の取得が最大の難関であり、これが終われば後は素人でも余裕でできる簡単なお仕事です。

 

で、この作業は「法定相続情報一覧図」の作成でも必要で、この「法定相続情報一覧図」を作成する為に必要な抄本/謄本は自ら取得する必要があります。

 

このハードルに関する記載も確りかかれており、必要書類の収集の箇所に「出生から亡くなられるまでの連続した戸籍謄本及び除籍謄本を用意してください。」とあるそれが当該作業です。

 

この作業をなんとかしてくれないと・・・というのが実際に腹違いの相続者を含めた面倒な遺産分割を自分でやった人間の感想ですかね。

 

まぁ、なんというか、これで大半の手続きが楽に、ということでもないと思いますし、戸籍謄本/抄本の代わりにもならないと思います。

 

住民票や戸籍謄本/抄本は当該申請者が相続人である事を示すのと同時に、その書面の発行により手続き者が本人である事を示すプロセスを科しているわけであって、そこをすっ飛ばすのは流石に無理筋では?と思います。

 

便利な機能の紹介ではあるのですが、ちょっとミスリードが多い話し/発信の仕方かなと。